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総合出版 コスモ21

頭にいい、体にいい、楽しい本満載!

死ぬまで元気で楽しく食べられる・話せる最強の「お口ケア」

シヌマデゲンキデタノシクタベラレル・ハナセルサイキョウノ「オクチケア」

歯だけではない 口の中の乾燥・炎症・痛み・雑菌、唾液の減少、嚥下障害、睡眠時無呼吸症候群/内科医がすすめる60歳からの口腔ケア

周東 寛著

たった4つの習慣で口の機能低下を防げる

元気で楽しく食べられる、話せることが少しでも長く健康長寿でいるために不可欠。それには、口の健康を心がけることが何より大切と言う。本書で紹介する、誰でも簡単に始められる「お口ケア」を継続して行えば、食べること、呼吸をすること、話すことはもちろん、命に関わる誤嚥性肺炎や睡眠時無呼吸症候群の予防にも。

主な内容

パートⅠ すべての病気は「口の中」とつながっている
パートⅡ こんなにある! お口の役割
パートⅢ 今すぐ実践! 口の健康にいい4つの習慣

詳細な目次のページを開く

死ぬまで元気で楽しく食べられる・話せる最強の「お口ケア」
価格
1540円(本体1400円)
判型
四六判
頁数
172 頁
発行日
2017.4.28
ISBN
978-4-87795-352-2

立ち読み

はじめに

「病は口から入る。災いは口から出る」ということわざがあります。

 私は長年、内科医としてたくさんの患者さんを診療してきましたが、このことわざは現代医学から見ても真実であると感じています。

 たしかに、口の中の変化は体の中で起こる病気とつながっているからです。

 患者さんからよく聞く訴えです。

「口の中が乾く」

「いつも口内炎がある」

「虫歯でもないのに痛みがある」

「食べ物が喉につかえて、うまく飲み込めない」

「痰の切れが悪い」

「唇が荒れてしかたない」

「息が苦しい」

「夜寝ているとき、無呼吸になっていると言われた」

……

 そこで、日ごろどんな口のケアをしていますかとたずねると、たいていは、歯磨きは毎日していますという答えが返ってきます。

 しかし、口の働きを知ると、それだけでは口の機能低下やトラブルを防ぐことができないことに気づきます。

 何歳になっても、元気で楽しく過ごすには、しっかり食べられること、呼吸がしっかりできることがいちばんです。とくに意識しなくても、できていることかもしれません。

 ところが、口の機能が低下し、何かトラブルがあると、それまでは当たり前だった食べること、呼吸をすることさえ不自由になり、生活の質は一気に低下します。

 ここで、口と体の関係を川にたとえてみます。川上でトラブルがあり水が汚染されると、川下の水も汚染されます。川下で生活する人たちは、その水を浄化して使うでしょうが、それだけで水が浄化されないことは明らかです。上流で起こっている水の汚染を解決することが不可欠だからです。

 口から入った食べ物は、体の中を通過しながら、体をつくる栄養になったり、エネルギーになったりします。最後に不要物が排泄されます。これを川のたとえでいえば、口は上流で、体の中は中流や下流です。

 私たちは、ややもすると、体の中で起こっている病気にばかり目を向けやすいのですが、川上である口の機能低下やトラブルについては、意外に意識していないことが多いのです。

 たとえば、ガン治療では、事前に口のケアをしておくことがとても重要です。とくに化学療法の場合は副作用で口の中に痛みや炎症が起こりやすく、感染症などの菌が繁殖して体内に入りやすいからです。

 口の中に炎症や痛みがあると、食事も難しくなり回復力も低下してしまいます。口の中が荒れると、人との会話も少なくなります。

 これはガン治療に限ったことではありません。

 とくに60歳を過ぎ高齢になっても、元気で楽しく食べられる、話せることが少しでも長く健康長寿でいるために不可欠です。それには、口の健康を心がけることが何より大切なのです。

 そこで、ぜひおすすめしたいのが、本書で紹介する「お口ケア」です。食べること、呼吸をすること、話すことはもちろん、命に関わる誤嚥性肺炎や睡眠時無呼吸症候群の予防にもなります。

 誰でも簡単にはじめられますが、いちばんは続けていただくことです。これがとても大事です。

 何歳になっても健康体質でいることが健康長寿の基本ですが、体質は一日でつくられるものではありません。食生活や運動習慣、環境の影響などによって、長い期間をかけてつくられるものだからです。

 口の健康も同じです。毎日、自分の口とどのように付き合っているかをチェックしてみてください。そして、今日から「お口ケア」をはじめてください。

 本書がそのための確かなガイドになることを心から願っています。

 最後に、私が医術に関して日ごろから信条にしている言葉を著して終わります。

 一、医は仁術――昔も今も医術とは心を施す

 二、医は忍術――人は十人十色、誰に対しても冷静な心で医術を施す

 三、医は芸術――いちはやく「病」を見つけ出して予防し、健康寿命を延伸するために医術を施す

 では、皆さま、いつまでも「元気はつらつ」で、お過ごしください。

 

  平成29年4月

周東 寛

目 次

もくじ◎死ぬまで元気で楽しく食べられる・話せる 最強の「お口ケア」

はじめに

パートⅠ すべての病気は「口の中」とつながっている

口に現われる変化はすべて体の中とつながっている

口の中のことに意外と無関心

口の機能をチェックしてみましょう

口の中のトラブルの原因

口腔内の雑菌が繁殖する仕組み

あなたの口の中の雑菌は多い? 少ない?

高齢になると口の中の機能が落ちてくる

口の中の高齢化の特色

摂食嚥下障害は高齢者にとくに多い

あなたのお口のケアは十分ですか

口の中のトラブルによって起きる病気

介護における口腔機能改善の重要性

パートⅡ こんなにある! お口の役割

1お口の大切な仕事

4つの大きな機能

生命維持のための仕事「食べる」「呼吸する」

「食べる」ために必要な体の機能

「呼吸する」ために必要な機能

口の機能低下はコミュニケーションの減少につながる

「顔の表情」を豊かにするには口元の動きも大切

まだある口の働き

2器官ごとの役割

歯の関連組織

上顎骨・下顎骨・顎関節・関節円板

唾液腺

口腔粘膜

咽頭・喉頭・鼻腔

3健康を守るためのお口の働き

唾液の働き

口の中の雑菌が排出される仕組み

パートⅢ 今すぐ実践! 口の健康にいい4つの習慣

お口の健康を保つ4つの習慣

構造が複雑な口の中は雑菌がたまりやすい

正しい歯磨きの方法

歯ブラシ以外の用具も使いましょう

正しいうがいの方法

唾液の分泌を促進する

鼻呼吸を意識する

舌根の筋力づくり

「お口の太極拳」は絶好の口腔機能訓練

唇の動きをよくするマッサージ

笑いで横隔膜の筋肉を鍛える

病院でのケアも必要

元気なお口になる生活習慣、できるところから少しずつ

 

【コラム】「アディポネクチン」で口の中の炎症対策

プロフィール

周東 寛(しゅうとうひろし)

1978年昭和大学医学部卒。1980年、昭和大学藤が丘病院呼吸器内科入局。1986年、自らの医療方針を実現するため駅ビル医院「せんげん台」を開院し、1990年に医療法人健身会を設立して理事長に就任。2003年には南越谷健身会クリニックを開院し、院長に就任。昭和大学医学部兼任講師。医学博士。

開業以来、西洋医学に東洋医学を取り入れるとともに、食事指導、運動指導や最新の検査機器を導入して予防医学にも尽力。2007年には厚生労働省認定運動施設医療法・42条施設『健康ひろば』を2施設に設立。また心身医学療法にも取り組み、トータルヘルスの実践に務めている。