懐メロ・演歌でイキイキ介護
ナツメロ・エンカデイキイキカイゴ
歌って踊って脳が若返る
春日くに子著
プロの演歌歌手であり、音楽療法士、介護福祉士でもある著者が、介護現場の実体験を通して生み出した「音楽レクリエーション」。懐メロ・演歌を利用したこの「音レク」を通じて、●心と体が前向きになる●言葉の能力が刺激される●笑顔が蘇る●主役気分で意欲がわく——など介護現場がイキイキ。
主な内容
プロローグ 歌と介護の幸運な出会い!
1章 歌の力が介護を変える
2章 懐メロ・演歌で介護を応援!
3章 笑いがあふれる楽しい時間をプレゼント
4章 「ほんとうに楽しい」を演出
5章 コツさえわかれば誰でも楽しく歌える!
6章 歌を通して心と心がつながる
付録 進化し続ける「カラオケ文化」
- 価格
- 1540円(本体1400円)
- 判型
- 四六判
- 頁数
- 192 頁
- 発行日
- 2008.12.19
- ISBN
- 978-4-87795-145-0
立ち読み
プロローグ 歌と介護の幸運な出会い!
○歌の力で介護を応援!
日本は世界トップクラスの長寿国になりましたが、長生きできても生活の質が低下するようでは、ほんとうに幸せとはいえません。健康で心豊かな生活をいかに実現するかが大きな課題です。
とくに介護を必要とする状態に置かれると、介護する側も、される側も、単調なくり返しになりがちで、つらいことも多いものです。
私は、長年の歌手としての経験と、その後の音楽療法士、介護福祉士としての経験から、介護の場にこそ“楽しくてワクワクできて自然に笑みがあふれてくる時間”を提供しなければならないと長らく考え続けてきました。そのなかで生まれたのが「音楽レクリエーション」です。
プロローグ 歌と介護の幸運な出会い!
○歌の力で介護を応援!
日本は世界トップクラスの長寿国になりましたが、長生きできても生活の質が低下するようでは、ほんとうに幸せとはいえません。健康で心豊かな生活をいかに実現するかが大きな課題です。
とくに介護を必要とする状態に置かれると、介護する側も、される側も、単調なくり返しになりがちで、つらいことも多いものです。
私は、長年の歌手としての経験と、その後の音楽療法士、介護福祉士としての経験から、介護の場にこそ“楽しくてワクワクできて自然に笑みがあふれてくる時間”を提供しなければならないと長らく考え続けてきました。そのなかで生まれたのが「音楽レクリエーション」です。
すでに多くの介護施設では、高齢者向けにさまざまなレクリエーションメニューが取り入れられ、音楽を利用したメニューも実施されています。しかし、この「音楽レクリエーション」(以降は「音レク」と表記)には、そうしたものとは少し違った工夫が施されています。
音楽のなかでもとくにお年寄りに馴染みの深い懐メロや演歌といった曲を中心に、簡単な踊りやお芝居、ゲームなどを取り入れ、約一時間のレクリエーションを思いっきり楽しく過ごせるようにプログラムされているのです。口腔ケアや介護予防のためのプログラムも組み込まれています。
今は、ほとんどの施設にカラオケが常設されていますので、フルに活用して行なっています。耳にしたことのある歌の伴奏が流れてくると、それだけでみなさんの顔がパッと輝きます。
そして、目をキラキラさせながら、どこにそんな力が潜んでいたのかと驚くほど、大きな声で歌ったり踊ったりしてくださいます。
参加しているうちに「顔色がよくなった」「明るくなった」「イキイキしてきた」というお話もよく耳にします。「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉もありますが、人生の晩年期が長くなった今日、このように人生を応援できる力が歌にはあるのだと思います。
○記憶の奧に埋まっている音楽を探し出す
同じ音楽といってもたくさんのジャンルがありますが、「音レク」で大切にしているのは、それぞれの世代が一定の年齢に達し、過去を回想することが多くなったとき、心の原風景をつくっている音楽は、どんな種類のものかということです。
「いい音楽だから喜んでもらえるはず」と考えるよりも、どんな音楽が心の中に眠っているのか、それを探し出すことからはじめるようにしているのです。
たとえば、クラシックに親しみながら育った方ならば、その音楽に馴染みがあるかもしれません。あるいは、フォークやジャズ、ロックといった音楽に親しんできた方ならば、それらの音楽が高齢に達したとき心の原風景として織り込まれているかもしれません。
いま、介護を必要とされている高齢世代のほとんどの方たちは、現在よりも音楽を耳にするメディアが極端に少ない時代を生きてこられたと思います。ですから、身近な音楽といえば、子ども時代は母親が歌ってくれた子守唄や童謡・唱歌、民謡、ラジオから流れていた歌謡曲や流行歌、宴会などで大人たちが手拍子に合わせてうたった歌、いわゆる大衆音楽がほとんどだったと思います。そして、成人してからも、テレビなどから流れる歌謡曲などにふれることが多かったでしょう。
それらの旋律が記憶の奥に埋まっていて、同じ音楽のなかでも懐メロや演歌にふれると、心が刺激され共鳴して揺り動かされるのだと思います。
プロフィール
春日くに子(かすがくにこ)
歌手、日本音楽療法学会認定音楽療法士、介護福祉士、介護予防運動指導員。
熊本県出身、東京在住。(有)レトワール・アカデミー代表、NPO法人「音楽レクリエーション協会」理事・特別講師、株式会社第一興商音楽セッションコンサルタント。
昭和42年上京し、NHKオーディションとコロムビアレコードオーディションに合格した後、昭和46年コロムビアレコードより歌手デビュー。昭和57年キングレコードに移籍。三橋美智也氏に師事し12年間「三橋美智也ショー」に出演。
その後、音楽療法の道へ進み、平成11年音楽療法士の資格取得。平成12年より老人保健施設「レーベンハウス」、介護支援デイセンター「ゆうらくの里」等で「音楽レクリエーション」を開始し現在も継続。自治体主催のセミナーや病院、学校、介護支援センター等での講演活動も行なう。著書に『懐メロで歌って踊ろう わくわく12カ月』(あおぞら音楽社)がある。