“結婚生活の破綻は、ちょっとした心遣いを忘れるところから始まる。結婚の幸福は非常にデリケートにできているから、手荒い扱いは禁物である。この感じやすい植物は、思いやりのない手で触れただけで傷つき、無関心によって凍りつき、疑いによって破れてしまう。結婚という幸福の花には、常に優しい愛情をふり注いでやることだ。暖かい思いやりの光をあててその花弁を開けてやり、どんなものにも揺るがない、「信頼」の鉄壁で守ってやることだ。こうして成長した結婚という幸福の花は、人生のあらゆる時期に香わしく咲き、老年の淋しさすら甘美な甘さで包むのである。”
トーマス・スプラット(イギリス・1635〜1713)
結婚生活で、私たちが戸惑うのは、“自分たちはもう夫婦なのだから”と軽い気持ちで取った態度や、ジョークのつもりで言ったひと言が、思いもよらない反発や怒りを買ってしまい、気まずい雰囲気になってしまうというもの。
結婚生活というものは、私たちが考えているよりも、はるかにデリケートで傷つきやすいものであるということを理解しないままに“出航”してしまったために、私たちの“愛のタイタニック号”は思いもかけない氷山に衝突することがよくあります。
誰もが幸せになりたいと思って、結婚したはずです。“仲のいい夫婦、かわいい子供たち、楽しい一家団欒、そして温かい我が家を”願って結婚したはずです。
しかし、結婚生活を始めると、夫婦間に予期もしない出来事が次々と起こり、あたかも巨大迷路に迷い込んだ者のように、一つひとつの難題を確実にクリアしていかない限り、本当の幸せな家族になることができません。
私は今まで20年以上、家庭問題に取り組んできました。そんななかで強く思うことは、この広大な宇宙と自然界が、整然とした物理的、化学的ルール(法則)によって運行しているのと同じように、夫婦や親子などの人間関係にも、はっきりとしたルールがあるということです。情の世界のルールであり、心の世界のルールがそれです。
そのルールを無視した行動をとった瞬間、相手の感情を傷つけ、怒りや反発を買い、何らかの形でしっぺ返しを受けることになります。
それでもなお、その行動を繰り返していれば、つもり積もった恨みがある時点で爆発し、夫婦関係は破綻することになってしまいます。
反対に、そのルールをつかみ、自分の態度を改めていけば、相手は驚くほどやわらいで、好意を寄せてくれるようになります。こちらが尽くせば、相手は優しくなり、こちらが感謝を示せば、相手からもっと多くの親切が返ってきます。
そして、惜しみない賞賛を送れば、相手からはさらに大きな愛情が降り注がれることを、身をもって体験することになるでしょう。
本書では、そんな内容をわかりやすくまとめました。私の研究と自身の体験、そして、多くの方々の相談を受けてきた経験を踏まえて、できるだけ本音で率直に書いたつもりです。なお、プライバシー保護のため、本文中の実例の個人名は、すべて仮名にさせていただきました。
本書の目的は、結婚生活において生じるさまざまな夫婦間の葛藤をちょっとした夫婦間の「気くばり」によって克服して、新婚時代と同じような、いやもっと大きな幸せをつかんでいただくことにあります。
本書が、結婚して何らかの悩みをもっておられるご夫婦のために、また、「これから結婚を」と考えておられるすべての男性と女性のために、少しでもお役に立てば幸いです。 |