愛する人のために神様の気功術
アイスルヒトノタメニカミサマノキコウジュツ
阿部文子著
あなたも「魔法の手」がもてる
「緩和ケア」のカウンセラーでもある著者は、気功を通して、多くの患者さんの症状の改善に努めてきた。「魔法の手」である気功との出合い、改善した患者さんの症例、誰にもできる気功の方法、また力を増すために気功について掘り下げて紹介している。
主な内容
プロローグ 気功で多くの患者さんの症状を改善
1 神様がくれたお母さんの気功術
2 あなたも「魔法の手」がもてる
3 母なる生き方を求めて
4 「気」の力で驚くほどの癒しの効果が

- 価格
- 1430円(本体1300円)
- 判型
- 四六判
- 頁数
- 176 頁
- 発行日
- 2011.4.21
- ISBN
- 978-4-87795-207-5
立ち読み
プロローグ 気功で多くの患者さんの症状を改善
風です。
私は、なにか生命ある物に手をかざすと、風を感じるのです。
そよ風のような風、熱い風、程よい温かさの風、冷蔵庫の中のような冷たい風、なかにはなにも感じないものもありました。
風は、そのものの気の状態を表しているそうです。
元気な花や木からは、暖かな風を感じます。でも、枯れそうな植物からは冷たい風が吹いていました。特に冬の木は、ほとんどなにも出していませんでした。それは、人間にもあてはまりました。
健康な人からは、穏やかな風が、病を抱えている人からは、「おおっ」と思うほど冷たい風や熱い風が吹いていました。手をかざしてその風を除き終わると、「ああ、楽になった」と喜んでくださいました。
私は風を感じるこの手を、お母さんの「魔法の手」と呼んでいます。
小さい頃、転んでけがをしたときに、母は傷に手を当ててくれました。すると痛みがやわらいでいったのです。また、昔は衛生事情が悪く、よくお腹をこわして夜中に痛くなることが多かったのですが、そんなときもお腹に手を当ててもらうと、痛みがやわらいで眠ることができました。
風邪で熱にうなされたとき、手を握ってもらうだけで、安心して眠ることができました。
「手当て」とは、よくいったものです。
そんな母の手は、私にとって「魔法の手」でした。
病む人を看るということは、母親のこころにも通じるものがあると思うのです。
こころの底から、少しでも健康の回復を、祈る気持ち。
身体の痛みも、こころの痛みもすべて受け入れて、なおなにかをしてあげたいと思う気持ち。それはまさに、愛する家族を思う、お母さんのこころなのです。
私は、がんの「緩和ケア」(注1)のカウンセラーです。
再発、そして死に対する不安と、いつも背中合わせで生きている患者さんのこころに寄り添って、はや二十年近く経ちました。
プロローグ 気功で多くの患者さんの症状を改善
風です。
私は、なにか生命ある物に手をかざすと、風を感じるのです。
そよ風のような風、熱い風、程よい温かさの風、冷蔵庫の中のような冷たい風、なかにはなにも感じないものもありました。
風は、そのものの気の状態を表しているそうです。
元気な花や木からは、暖かな風を感じます。でも、枯れそうな植物からは冷たい風が吹いていました。特に冬の木は、ほとんどなにも出していませんでした。それは、人間にもあてはまりました。
健康な人からは、穏やかな風が、病を抱えている人からは、「おおっ」と思うほど冷たい風や熱い風が吹いていました。手をかざしてその風を除き終わると、「ああ、楽になった」と喜んでくださいました。
私は風を感じるこの手を、お母さんの「魔法の手」と呼んでいます。
小さい頃、転んでけがをしたときに、母は傷に手を当ててくれました。すると痛みがやわらいでいったのです。また、昔は衛生事情が悪く、よくお腹をこわして夜中に痛くなることが多かったのですが、そんなときもお腹に手を当ててもらうと、痛みがやわらいで眠ることができました。
風邪で熱にうなされたとき、手を握ってもらうだけで、安心して眠ることができました。
「手当て」とは、よくいったものです。
そんな母の手は、私にとって「魔法の手」でした。
病む人を看るということは、母親のこころにも通じるものがあると思うのです。
こころの底から、少しでも健康の回復を、祈る気持ち。
身体の痛みも、こころの痛みもすべて受け入れて、なおなにかをしてあげたいと思う気持ち。それはまさに、愛する家族を思う、お母さんのこころなのです。
私は、がんの「緩和ケア」(注1)のカウンセラーです。
再発、そして死に対する不安と、いつも背中合わせで生きている患者さんのこころに寄り添って、はや二十年近く経ちました。
初めは、患者さんのこころをケアするカウンセラーとして出発しました。
私がそばに座る方々は、いつもなんらかの痛みをもっていました。
それは、話を聴けばよくなるというものではないのです。あるときは手術が必要であり、痛み止めが必要でした。そして抗がん剤治療や、放射線治療も受けていかれました。
がんはペインコントロール(けがや病気、手術による痛みを管理すること)が大切なので、主治医は痛みをとることに努力してくださいました。でも、とれない痛みもあるのです。
カウンセラーとして、話を聴くことも重要でした。
長い間胸につかえていたものが、涙とともにおろせて、「こころの整理ができました」と喜んでくださる方もいます。
がんになってしまったことを悲しむばかりでなく、「生きるってすごいことだと、やっと気がつきました」と、残された人生をいとおしむように、前向きに明るく過ごされる方もいます。
薬ではとれないこころの痛みをとるので、やはり心理療法は欠かせないことなのです。
召されるとき、「幸せだった」と言えるような最期を迎えさせてあげたい。そのために自分のできることをさせていただこう、と私なりに一生懸命でした。
それでも、痛みに苦しんでいる人のそばにいたとき、痛みに対してどうすることもできないもどかしさを感じていました。
意識がなく話すこともできなくなっている方のそばで、なにができるのか。話を聴くだけのカウンセラーの存在は、あまりにも無力のように感じました。
「ごめんね……」
こころの中で、涙ながら患者さんに語りかけることもしばしばでした。
まるで、病気で苦しむ我が子の姿を見ながら、なにもできない母親のように、切ないものでした。
痛みから、解放してあげたい。
苦しんでいる患者さんのために、もっと、なにか、しなければ。
二百人近くの人の死を看取ってきた私でしたが、患者さんの死に、慣れることはできませんでした。一人の方が亡くなられれば、ひと月は食欲がなくなり、こころも重くなりました。
いつの頃からか、微熱が下がらず、お腹も痛く、具合の悪い日が続きました。悲しみで、体は悲鳴をあげていたのです。
そんなとき、夢を見ました。
神様が、私の背中をさすってくださるのです。
すると、体中からエネルギーがあふれて、私を癒してくれるのです。
それが、気功というものでした。
それは、子供の頃、痛いところに手を触れて癒してくれた、お母さんの「魔法の手」のようでした。
まさに、神様がくださった、お母さんの気功でした。
初めは手探りで進んで行きましたが、やがてたくさんの患者さんの症状を改善することができるようになりました。
乳がんの骨転移で、病院に入ったらもう最期だろうと覚悟して入院してこられた方が、三ヶ月で元気に退院されたこともありました。肝臓がんの末期で、象のようにむくんだ足が、風船がしぼんでいくように本来の足の形に戻ったこともありました。
また、がんだけではなく、風邪をひいた方はもちろん、リウマチの方など、様々な病の方と出会い、癒えていく姿を見ることができました。
苦しんでいる人の、痛みをとれる。
それは、私にとって、なによりの喜びでした。
私の小さな手も、お母さんの「魔法の手」になったのですから。
そして、この本を読んでくださっているあなたも、「魔法の手」をもって、家族の方の痛み、苦しみを、癒すことができるのです。
患者さんのご家族に気功をお教えすると、皆さん、比較的簡単に気功ができるようになります。
愛する人の痛みをとってあげたい、治してあげたい。
その気持ちの強い人ほど、早く上手に気功ができるようになるようです。
人間の自然治癒力は、ときに奇跡的な成果をあげます。
医師に依存することなく、自分の手で家族の自然治癒力をあげて、病を癒すことができるのです。
「ママ、気やって」
私の子供たちは、お腹が痛いとき、風邪をひいたときなど、具合が悪くなるとやってきて、気功を受けるようになりました。我が家では気功は欠かせないものになりました。
一家に一人、気功ができる方がいるようになれば、病もかなり減るのではと思うのです。
本書では、「魔法の手」である気功との出合い、改善した患者さんの症例、あなたにもできる気功の方法、また力を増すために、気功について少し掘り下げて紹介してみました。
あなたも「魔法の手」をもって、愛する人を癒してあげませんか?
気功で少しでも、病に苦しむ患者さんとご家族の、お役に立てれば幸いです。
注1 緩和ケア 生命(人生)を脅かす疾患による問題に直面している患者およびその家族の、QOL(人生の質、生活の質)を改善するアプローチである。苦しみを予防したりやわらげたりすることでなされるものであり、そのための身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確な治療を行うという方法がとられる。
プロフィール
阿部文子(あべふみこ)
総合病院カウンセラー。特にがんの緩和ケアのカウンセラーとしてカウンセリング・イメージ療法などを行なっている。
宮城県多賀城市出身。尚絅女学院短期大学保育科を卒業後、幼稚園に勤務。
結婚後、心療内科クリニックにドクターエイド(秘書)として勤務。明星大学通信教育学部教育心理学科卒業、同クリニックのカウンセラーとなる。企業向けメンタルへルスの講義、カウンセラー養成講座の講師も担当。現在は病院でのケアに専念している。