進化のイコン
シンカノイコン
破綻する進化論教育 生物教科書の絵は本物か?
ジョナサン・ウエルズ著/渡辺久義監訳・創造デザイン学会訳
アメリカで大論争!
ミラーーユーリーの実験、系統樹、脊椎動物の前肢の相同、ヘッケルの胚の絵、始祖鳥……なぜニセモノ「進化の証拠」が教科書に掲載され続けるのか? 「ダーウィニズムは科学でなく神話」と、アメリカで大論争の火を付けた本がついに日本語版に——。
主な内容
1章 ダーウィン理論は科学か神話か?
2章 ミラー‐ユーリーの実験
3章 ダーウィンの生命の樹(系統樹)
4章 脊椎動物の前肢の「相同」
5章 ヘッケルの胚
6章 始祖鳥――失われた環
7章 オオシモフリエダシャク
8章 ダーウィン・フィンチ
9章 四枚羽のショウジョウバエ
10章 ウマの化石と導かれた進化
11章 類人猿から人間へ――究極のイコン
12章 進化論の障碍
附記 日本における生物教科書事情
- 価格
- 3740円(本体3400円)
- 判型
- 四六判上製
- 頁数
- 356 頁
- 発行日
- 2007.5.24
- ISBN
- 978-4-87795-117-7
立ち読み
カリフォルニア大学バークレー校理学部の学部生時代、それに生物学専攻の大学院生時代を通じて、私は教科書に書いてあることはほとんど何でも信じていた。そこに多少のミスプリントやちょっとした事実の間違いがあることはわかっていたし、証拠を超えた哲学的な主張などには懐疑的であった。しかし自分が教えられることのほとんどは、実質的に真理だと思っていた。
ところが細胞と発生生物学の学位論文を書き終えようとしていたとき、進化生物学を扱っている私の教科書のすべてが、あまりにも明らかな間違いを載せていることに気づいた。それはいくつかの脊椎動物の胚の類似性を示す絵で、この類似性はそれらの動物が共通の祖先からきていることの証拠だというものであった。しかし胚発生研究者の私には、これらの絵がウソであることが明らかだった。絵が示しているという胚の実態が歪曲されているだけでなく、それらの胚が互いに非常に異なって見えるより早い段階を、これらの絵は無視していた。
カリフォルニア大学バークレー校理学部の学部生時代、それに生物学専攻の大学院生時代を通じて、私は教科書に書いてあることはほとんど何でも信じていた。そこに多少のミスプリントやちょっとした事実の間違いがあることはわかっていたし、証拠を超えた哲学的な主張などには懐疑的であった。しかし自分が教えられることのほとんどは、実質的に真理だと思っていた。
ところが細胞と発生生物学の学位論文を書き終えようとしていたとき、進化生物学を扱っている私の教科書のすべてが、あまりにも明らかな間違いを載せていることに気づいた。それはいくつかの脊椎動物の胚の類似性を示す絵で、この類似性はそれらの動物が共通の祖先からきていることの証拠だというものであった。しかし胚発生研究者の私には、これらの絵がウソであることが明らかだった。絵が示しているという胚の実態が歪曲されているだけでなく、それらの胚が互いに非常に異なって見えるより早い段階を、これらの絵は無視していた。
これら胚の絵についての私の判断はその後確認された。一九九七年、イギリスの発生学者マイケル・リチャードソンら国際チームが、雑誌『解剖学と発生学』に、教科書の絵と現実の胚を比較する論文を載せたのである。続いてリチャードソンの会見の発言が、主要なアメリカの科学雑誌『サイエンス』に載った——「これは生物学における最も有名なニセモノの一つになりそうです」
しかしほとんどの人がこの事実を知らないでいる。そして一九九七年以後に出版された生物学教科書でさえ、このニセモノの絵を載せ続けている。それ以来私は、教科書のこのほかの多くの挿絵も同様に、進化の証拠をゆがめているという事実を発見した。最初、私はこれが信じられなかった。どうしてこれだけ多くの教科書が、これだけ多くの間違った絵や説明を、これだけ長く載せ続けているのだろうか? なぜもっと早く気づかれなかったのだろうか? まもなく私は、他の生物学者たちも間違いの大部分にちゃんと気づいており、印刷物で批判さえしていることを知った。しかし彼らの批判は無視されてきたのである。
そのパターンは一貫していて、それが単なる間違い以上のものであることを示唆している。少なくとも、ダーウィニズムが真実の歪曲を助長するものであることが、そこからわかってくる。これらの歪曲のどこまでが無意識のもので、どこまでが故意であるかはわからない。しかし結果ははっきりしている。学生たちと一般大衆が組織的に、進化の証拠と称するものについて間違ったことを教えられているのである。
この本はその証拠に関するものである。それを記録するために、私はそのほとんどがダーウィン進化論信者である何百人という科学者の、査読された論文から引用することにした。それらを引用するのは、彼らがダーウィン進化論を拒否しているかのように思わせたいからではない。彼らのほとんどはダーウィン進化論を拒否などしない。彼らを引用するのは、彼らが証拠についての専門家だからである。
プロフィール
ジョナサン・ウエルズ(Jonathan Wells)
米シアトルに本拠を置く「ディスカヴアリー・インステイテュート」上級研究員。科学の新しいパラダイムであるインテリジェント・デザイン(ID)理論の構築者の一人。最近、テレビなどを通じて公開討論や講演会に多数出演し注目を浴びている。カリフォルニア大学バークレー校の理学部を卒業。1964年から1966年にかけての兵役後、イェール大学に学び、宗教学の博士号を取得(1986)、19世紀におけるダーウィン論争について本を書いた。さらに再入学したカリフォルニア大学から、分子・細胞生物学の分野で博士号を取得(1994)、主流誌を含む専門科学誌に多くの論文を発表している。