がん「五人の名医(光、空気、水、土、食物)」に生かされて
ガン「ゴニンノメイイ(ヒカリ、クウキ、ミズ、ツチ、ショクモツ)」ニイカサレテ
余命半年から30年
長友明美著
末期の「絨毛がん」から生還
余命半年の末期がんを克服し、奇跡の双子出産をしてから30年。著者は、がん治療には、自分流の統合医療を、と言う。本書は、がん患者に立ちふさがる高い壁を前にして、絶望するのではなく勇気を出して挑戦してみようという手がかりやとっかりとなる統合医療的アプローチを紹介する。
主な内容
プロローグ がん治療には自分流の統合医療を!
1 ニューヨークで「絨毛がん宣告」!! 肺にも転移
2 「心の力」を偉大なる味方にしてがん克服へ
3 一心病院でユニークな統合医療と出合う
4 驚きの妊娠!! 奇跡の双子出産
5 医者任せではなくがん克服に向けて自らの「青写真」をつくろう
6 食事療法こそがすべての治療法の基礎 がんを予防する食事の国際的基準とは
7 私が実践した家庭でできる自然療法
8 生かされていることへの「気づき」と人生観の転換を
9 がん死を確実に減らす「第1次予防」

- 価格
- 2090円(本体1900円)
- 判型
- 四六判
- 頁数
- 332 頁
- 発行日
- 2012.9.14
- ISBN
- 978-4-87795-237-2
立ち読み
プロローグ がん治療には自分流の統合医療を!
がんの治療に「魔法の弾丸はない」——私はこの当然の事実に気がつくのに長く時間がかかりました。そんな薬や治療法があるなら、がんと診断されてもだれもショックは受けないはずです。治療する側の医師からすれば、これは当たり前のことなのでしょうが、治療を受ける側の患者は、完治するという大きな期待しか頭にないのですから、初めからそんなことを考えるはずがありません。
MDアンダーソンがんセンターの上野直人准教授は「がんは一つの特効薬や手術で治るような病気ではないので、標準治療のガイドラインにそった外科療法、放射線療法、化学療法を組み合わせた集学的治療を行うのが最も望ましい」「(『最高の医療を受けるための患者学』)と述べられています。
この「三大療法による標準治療」が「最も素晴らしい治療」とも書かれていますが、たとえそうであっても現実は、日本で1年間に34万人の人が「もうこれ以上、治療法がありません」と告げられて亡くなっているのですから、標準治療だけで十分ということを意味しているわけではないでしょう。
「がんは一つの特効薬や手術で治るような病気ではない」というのは、ほとんどの医師の共通した認識だと思いますが、「そうであるならば、その先をどうするのがいいのか」ということになると様々な考え方があります。
一つは標準治療を行う大多数派であり、いわゆる正統派です。三大療法に限界があるとしても、これ以外に科学的根拠(エビデンス)のある治療法はないのだから、次は臨床試験に参加したり、次の薬が出てくるのを待ったり、あくまでも標準治療だけで延命できるところまで行くしかないということなのでしょうか。
もう一つは少数派の「がんの統合医療」です。最も愛する人である夫、妻、親、子どもなどががんになったとき、三大療法を受けていて限界がきたとき、「魔法の治療法」がないのであれば、どのような治療を受けさせてあげたいと願うでしょうか。
私は、様々な医学、医療の欠点を補い合い長所を生かすことで患者に最も適切な全人的治療を選択する統合医療が可能であるならば、それを受けたいと思います。
プロローグ がん治療には自分流の統合医療を!
がんの治療に「魔法の弾丸はない」——私はこの当然の事実に気がつくのに長く時間がかかりました。そんな薬や治療法があるなら、がんと診断されてもだれもショックは受けないはずです。治療する側の医師からすれば、これは当たり前のことなのでしょうが、治療を受ける側の患者は、完治するという大きな期待しか頭にないのですから、初めからそんなことを考えるはずがありません。
MDアンダーソンがんセンターの上野直人准教授は「がんは一つの特効薬や手術で治るような病気ではないので、標準治療のガイドラインにそった外科療法、放射線療法、化学療法を組み合わせた集学的治療を行うのが最も望ましい」「(『最高の医療を受けるための患者学』)と述べられています。
この「三大療法による標準治療」が「最も素晴らしい治療」とも書かれていますが、たとえそうであっても現実は、日本で1年間に34万人の人が「もうこれ以上、治療法がありません」と告げられて亡くなっているのですから、標準治療だけで十分ということを意味しているわけではないでしょう。
「がんは一つの特効薬や手術で治るような病気ではない」というのは、ほとんどの医師の共通した認識だと思いますが、「そうであるならば、その先をどうするのがいいのか」ということになると様々な考え方があります。
一つは標準治療を行う大多数派であり、いわゆる正統派です。三大療法に限界があるとしても、これ以外に科学的根拠(エビデンス)のある治療法はないのだから、次は臨床試験に参加したり、次の薬が出てくるのを待ったり、あくまでも標準治療だけで延命できるところまで行くしかないということなのでしょうか。
もう一つは少数派の「がんの統合医療」です。最も愛する人である夫、妻、親、子どもなどががんになったとき、三大療法を受けていて限界がきたとき、「魔法の治療法」がないのであれば、どのような治療を受けさせてあげたいと願うでしょうか。
私は、様々な医学、医療の欠点を補い合い長所を生かすことで患者に最も適切な全人的治療を選択する統合医療が可能であるならば、それを受けたいと思います。
「なぜがんの治療は統合医療であるべきか」という問いに対して、「それはほとんどの患者が統合的なケアを望んでいるからです」とアンドルー・ワイル博士(『がんの統合医療』)は述べています。調査によると患者の90%は病院の通常の治療を受けながら、「ほかの療法」を併用しているといいます。患者は、ある一つの方法でがんを治すのは難しいことを知っているので、利用できるものはなんでも取り入れようと考えるのだと思います。
三大療法だけでは十分ではないという現実を前にして、相補・代替医療(CAM)も治療に取り入れ、総合的にがんと闘ったほうがより患者のためになるのではないかという考えから「統合医療」という治療法が出てきたのは、自然な成り行きではないでしょうか。
米国政府が国家的レベルでCAMに取り組むようになったのをきっかけに、日本でもCAMをめぐる動きは活発化し、2008年に「統合医療こそ、真の国民のための医療である」という信念のもと、日本統合医療学会(IMJ)が設立されました。
統合医療の中心はあくまでも三大療法であり、より治療効果を上げるように、他の療法を統合しようとするものです。現代医学を拒否しCAMだけでやるのは統合医療とはいいません。手術を拒否して、手遅れになった患者さんに会ったこともあります。
今のところ手術にとって代わる確実にがんを治す方法はないのですから、まず手術するのが第1の選択です。がんの特効療法はないにもかかわらず、ある先進医療だけとか、またはある一つのCAMだけに命を懸けている人もいますが、これは統合医療と正反対の考え方です。がんは「一本槍」で勝てるほど弱い相手ではありませんので、使えるものはなんでも使う総合戦でやるべきだと思います。
今世紀に入って、米国の統合医療の大きな発展を見て、私は日本でも統合医療の潮流がもっと大きくなっていくだろうと思っていましたが、期待しすぎでした。
日本では統合医療の理念に共鳴する医師はたくさんいても、本格的に統合医療に取り組んでいる病院やクリニックは少ないのです。がんの統合医療の理念を実際に実現した病院が現れるのを待っていても、「混合診療」ができないといった医療制度などの壁もあり、それは当分期待できないだろうと思います。統合医療の理念や理想は素晴らしいが、現実には存在しない名前だけの治療法のような印象を受けます。
いずれにしても、統合治療をやってくれる病院があろうがなかろうが健康を取り戻すために患者自身が「自分の責任でやらなければならないこと」は同じです。だれかが私の代わりにウオーキングに行ってくれたり食事をしてくれたりするわけではないのですから。
統合医療をやってくれる病院がないのであれば、自分流に統合医療的取り組みをすればいいのではないか、というのが、私がこの本を書く大きな動機なのです。ただ医師任せの「まな板の鯉でいいのですか」といいたいのです。
統合医療的なことを自分でやるといっても、独りよがりにならないためにも、実際に統合医療をやっている医師の見本となるやり方を学ぶ必要があります。私がまずモデルにしたのは、私が入院したときに実際に受けた小林常雄先生の方法です。
私は、1982年に㈿期の「絨毛がん」と診断され、余命6ヶ月とみられていました。そのとき、私はまだ統合医療という言葉も治療概念もない時代に、がん治療に役立つと思われるものはなんでも偏見なく受け入れる度量をもった先生たちによる統合医療の治療を受け、幸いにもそのような状況を乗り越えることができました。
そのほかにモデルにしたのは、アンドルー・ワイル博士のナチュラル・メディスン、そして、ワイル博士が「真の意味でがんの統合医療に取り組んでいる唯一のクリニック」というがん統合医療のパイオニアであるキース・ブロック(Keith Block)博士の方法『Life Over Cancer』、ダヴィド・シュレベール博士の『がんに効く生活』、カール・サイモントン博士の『がんのセルフコントロール』、さらに、帯津良一先生や福田一典先生(『自分でできる「がん再発予防法」』)、伊丹仁朗先生(『絶対あきらめないガン治療・30の可能性』)らの提示される統合医療です。
私が本書で紹介するのは、個々の方法でがんをやっつけようというような特別の治療法ではありません。昔から行われてきた食養生法、温泉療法、温灸、丹田呼吸法、瞑想、運動、西式健康法などによって人間が生まれながらにもっている治癒力を強めようという健康増進法です。それらを使って自助努力で取り組むセルフケアプログラムであり、がんのセルフコントロール・プログラムです。
ただし、これらはすべて自分自身の責任で取り組まねばならないものです。どんなに子どもが苦しんでいても、親が子どもの代わりに病気になることはできません。だれも助けてくれる人はいないのですから、本当に自分で治す気がなかったり、治るために最善を尽くす決意がなければ、どの療法一つとっても真剣に取り組むことはできないでしょう。
そして、それぞれ一つひとつの療法の力は小さいけれども、全部の力を合わせれば、それが総合されてついには一つの大きながんと闘う力になってくれるだろうということを信じて取り組むのです。統合医療的アプローチで「がんと闘う総合的な力」をいかに強めるか、それがこの本で私が一貫して追求するテーマです。
垂直にそそり立つ断崖絶壁を遠くから眺めると、登れるはずがないと、最初からあきらめてしまいそうになります。しかし、崖の近くに来てみると、崖にはあちこちに手や足をかけることができるとっかかりや窪みがあることがわかり、絶望的に見えた壁も、やってみれば登れるかも知れないという希望が出てくるものです。
がん患者もこれと同じようにがんが自分の前に立ちふさがる高い壁のように感じられ、絶望的になったり希望を失いかけたりするときがあります。そのとき、壁を前にして、なにもしないであきらめるか、それとも希望をもって最初のとっかかりを見つける努力をするかです。落ち着いてじっくりと探せば、必ず手がかりがあちこちに見つかるはずです。
そうしたら、それをきっかけに次の足がかりが見えてくるはずなのです。そこで、勇気を出して挑戦してみると、アイデアがいろいろ出てきて、いくらでも工夫をしてより上手に登る方法があることもわかってくるようになります。
本書でそのような手がかりやとっかかりを見つけていただければ、著者としてこれ以上の喜びはありません。なお、本書のタイトルは、7章の自然療法の所で紹介した「光、空気、水、土、食物の五人の名医に治してもらいなさい」といつも口癖のようにいっていた私の主治医の言葉から使わせてもらいました。
患者さんは、一人で険しい崖を一歩一歩登っていかねばなりません。登り切った頂には、雲一つない青空が広がり、虹が輝き、眼下には素晴らしい景色が広がっているでしょう。
その晴れ晴れとした気持ちを1日でも早く迎えられることを心より祈っております。
プロフィール
長友明美(ながともあけみ)
山梨県生まれ
79年西アフリカのシエラレオネに渡り、宣教師の夫を手助けする。81年現地で発病、82年ニューヨークでがん宣告。スローン・ケタリング・メモリアルがんセンターで治療。82年東京の一心病院に入院、84年4月同病院で双子出産。85年2月、TV朝日のドキュメンタリー番組『がん戦争パート㈽末期がんからの生還』放映、93年2月NHK教育スペシャル「人間はなぜ治るのか」に出演。枇杷温熱療法指導所開設。
NPO法人キャンサー・フリー・ファミリー理事長。