メディカルアロマテラピーの科学
メディカルアロマテラピーノカガク
藤本幸弘著
瞬時に気分転換できる香りのチカラ
心身をリラックスさせ、気持ちをリフレッシュさせる効果があるといわれてきたエッセンシャルオイル。本書は、医学的な観点から研究してきた論文を中心に、エッセンシャルオイルの効能などをまとめた。
- 価格
- 1540円(本体1400円)
- 判型
- 四六判
- 頁数
- 144 頁
- 発行日
- 2017.1.20
- ISBN
- 978-4-87795-347-8
立ち読み
はじめに
私は東京都千代田区にて「クリニックF」というレーザー専門クリニックを開業しています。私のレーザー治療のテーマのひとつが、「肌質を若返らせる」治療です。「肌質を改善する」「肌を若々しく入れ替える」「ニキビ跡を治療する」といった専門治療のために、ここ数年は海外の学会の招待講演を年間20回受ける、忙しい日々を送っています。
現代の医療現場では、信頼できる科学的根拠(エビデンス)に基づいた西洋医学をベースにして、東洋医学をはじめとした様々な自然療法などが、治療の現場に取り入れられています。その中には、本書のテーマであるエッセンシャルオイル、アロマテラピーもあります。古代から営々と語り継がれてきた伝承の数々が、最近の研究によって、医学的にそして科学的に解明されつつあります。
エッセンシャルオイルには、心身をリラックスさせ、気持ちをリフレッシュさせる効果があるといわれてきました。オイルの芳香の刺激は、鼻腔の嗅覚器と第一脳神経である嗅神経を通じて、情動や感情に影響を及ぼす古い脳である「大脳辺縁系」へダイレクトに伝わります。それは、生命活動や本能行動に影響していきます。私のクリニックでも、アロマテラピストの資格を持ったナースが働いていますので、処方する高機能の医薬化粧品にどのような匂いを付けるか、季節ごとに再検討しています。
もともと五感のうち嗅覚と聴覚は、自然界での危険を察知するために発達してきました。人間は、3000〜1万種類の香り(匂い)を判別できる嗅覚を持っていますが、進化の過程で大脳皮質を発達させ、嗅覚に全面的に頼らずとも危険を察知し、回避する能力を身につけました。その代わり増えてきたのが、社会生活や対人関係で受けるストレスです。
ストレスは、文明生活を始めた古代から、すでに多くの人間が感じていました。そのストレスから解放されるひとつの方法として、心地よい香り(匂い)を嗅ぐという文化が生まれました。それは、ストレス社会で生きるためには、脳に直接作用する香り(匂い)を使って、感情をコントロールすることが必要だったからです。そして、王族や貴族などの富裕層が中心となって、様々な植物から芳香成分を抽出して、生活に取り入れるようになっていきました。それがエッセンシャルオイル、アロマテラピーの原型であり、歴史です。
本書は、医学的な観点から研究した論文を中心に、エッセンシャルオイルの効能などをまとめました。横断的な知識を得るための一助になれば幸いです。
東京都千代田区 クリニックF院長室にて
医師・医学博士・工学博士 藤本 幸弘
目 次
メディカルアロマテラピーの科学 目次
はじめに
第1章 エッセンシャルオイルとは
学力アップにも効く? エッセンシャルオイル
ヨーロッパで生まれた? エッセンシャルオイルの歴史
香りを活用するものは日本にも
エッセンシャルオイルの作り方
化学的にエッセンシャルオイルを分類すると
体は嫌いな香りで回復することも
本物でないと効用が期待できないわけ
第2章 エッセンシャルオイルの働くしくみ
エッセンシャルオイルの正しい使い方
香り(匂い)を感じる器官
エッセンシャルオイルの皮膚吸収の実際
第3章 エッセンシャルオイルの効果
◦健康─Health
動脈機能改善が期待できる、イランイラン
片頭痛の発作回数が芳香浴で減少
血糖値を低下させる効果も期待できるマカダミアナッツオイル
◦美容─Beauty
ニキビに効くティートリー
ユズシードオイルの美肌作用
ストレスによる肌のバリア機能を守るローズのエッセンシャルオイル
メラニン生成の抑制作用が期待できるスイートアーモンドオイル
コラーゲン産生促進カモミールローマン精油の作用
美肌作用があるローズの香り
◦精神神経系─Mental
認知症に対するアロマテラピーの有用性
エッセンシャルオイルがもたらす鎮静、ストレス抑制、睡眠促進
快眠をもたらすオレンジスイート
◦基剤─Base products
基材によって左右される精油成分の皮膚透過性
◦抗菌─Antibacterial
エッセンシャルオイルの制菌作用
第4章 エッセンシャルオイルの選び方
正しい選び方のポイント
エッセンシャルオイルはデリケート
必ず成分を確認して、少量から試してみましょう
模造品や化学合成品に注意
石油系化学製品はなぜ良くないのか
ぜひ、漢方薬と同じように保険適用を願いたい
おわりに