日本人は偉大だ
ニホンジンハイダイダ
いちばん心に響く! 世界に誇る20人の生き方
増子岳寿著
学校でも教えてほしい! 日本の心
ひとりの日本人として、20世紀の曙光を浴びながら新しい時代を必死に生き抜いた人びとがいた。その心を歴史の彼方に埋没させていはいけない。その一つひとつの生き方が現代に甦る!
立ち読み
誇りと自信が湧いてくる!
私たち日本人が世界の中の日本という意識をもつようになったのは、一般的にいって、二百数十年にわたる鎖国が解かれて明治維新を迎え、近代日本の歩みを始めたときからです。それ以来、大まかにいえば、この国は敗戦までは軍事大国を、戦後は経済大国を目指してきました。
その結果、世界において、とりわけ経済において、一定の国際的役割を担う国になっていることは、子供から大人まで共通に認識していることでしょう。
ところが二十一世紀を迎えた今、世界の人々が注目しているのは、私たち日本人そのものです。日本人であることにどんな誇りをもっているのか、経済的繁栄を支えている生き方とは何か、どれほど世界の人々と共存していこうとする志をもっているのか……。
とくに戦後の教育を振り返りますと、次代を担う子供たちに、こうしたことをはっきりと伝えないまま来てしまったような気がします。その影響は、この国が、この社会が困難な課題に直面したとき、如実に現われてきています。
じつは、世界に門戸を開いたとき、日本人としての誇りをもち、新しい挑戦を始めたその生き方が、世界の人々の心を動かした先人たちがたくさんいました。その一つひとつを掘り起こしていくと、日本人の心が甦り、人間としての誇りが湧き上がってきます。
この本は、そんな先人たちのなかから二十人を取り上げました。すでによく知られている人物もいますが、その他は意外に知られていない人物を紹介してあります。それは、私の人物研究のフィールドがアジアにあることや、大学時代に勉強を始めたのがヨーロッパの形成史と近代における社会科学の成立過程にあったこと、さらに学生時代から登山に心を寄せてきたことも関係していると思われます。
それぞれ優れた業績をもつ方たちばかりですが、何よりお伝えしたいのは、彼らがその昔二十世紀の曙光を浴びながら、新しい時代を日本人としてどんな心構えで、どんなふうに生きたかということです。それを伝えることこそ日本人として二十一世紀を生きる力の源になると思います。
「日本人は偉大だ」そんな誇りと自信をもって生きる人々の姿がこの国にあふれることを願ってやみません。
目 次
もくじ 日本人は偉大だ
はじめに
杉原千畝 外交官として真の国益は人道博愛にありと決断
望月カズ 異国の地で孤児たちの「かあちゃん」として生き抜く
新渡戸稲造 日本の道徳を世界に伝えた功績は三軍の将に匹敵
西岡京治 二宮尊徳のごとくブータンの農業発展に尽くす
朝河貫一 最後の「さむらい」としての生き方を世界に示す
野口英世 たゆまぬ努力と飽くなき挑戦心が世界の人々の記憶に残る
鈴木大拙 透明度の高い英語で東洋と西洋の文化に橋を架ける
ラグーザ玉 明治の女性画家として自立した精神をもち西欧世界で活躍
織田楢次 他の民族と共存していくための真の道を示す
今西錦司 登山家にして学者、大自然の偉大さを科学で証す
笹目恒雄 何度裏切られようとも天意に従う道を貫く
岡倉天心 東洋の美を発見して世界の目を日本に向けさせる
植村直己 自己犠牲とスポーツマンシップにより世界から賞賛される
内村鑑三 近代日本が直面したあらゆる問題に精神的基軸を示す
浅川 巧 隣国を理解しその人々のために生きる
西堀栄三郎 創造性とは個性を尊重し個性を生かすことから生まれる
高塚 繁 名を知られることもなく異国の女性教育に身を捧げる
新島 襄 幕末に自力でひそかに渡米し高等教育を受ける
白井晟一 精神生活と物質生活が調和した建築空間を追求
西脇順三郎 相反するものが調和するという詩の原理を発見
あとがき