念起こるこれ病なり 継がざるこれ薬なり
ネンオコルコレヤマイナリ ツガザルコレクスリナリ
禅と大脳生理学に学ぶ 心が今すぐ解放される珠玉の「言霊」
高田明和著
平安な心に平安が宿る名言、金言の数々
まさによい言葉は脳を変えるだけでなく、心までも変えてしまい、あなたをまるで別人のように素晴らしい思考や行動をする人間に変身させてしまう。そのようなすごい力を秘めたブッダや禅の高僧などの珠玉の名言・至言・金言を厳選し、その意味するところを具体的にわかりやすく紹介。
主な内容
一章 不安な心に平静を取り戻す「名言」
二章 あなたの人生の迷いをすっきりとなくす「至言」
三章 人との関係が驚くほど改善する「金言」

- 価格
- 1430円(本体1300円)
- 判型
- 四六判
- 頁数
- 160 頁
- 発行日
- 2013.2.12
- ISBN
- 978-4-87795-253-2
立ち読み
はじめに あなたの人生を好転させる素晴らしい言葉の力
困難な時代を苦しまないで生きるためには
いったい今の日本は、どうなっているのでしょう。
経済活動も停滞し、いわゆるリストラで職を失い、会社に残ったとしても過度の労働で精神や肉体を病む人があとを絶ちません。また、子供たちはいじめなどで苦しみ、若い人は非正規採用でしか働けず、将来に展望がもてないと失望しています。もちろんうつ病などの心の病で苦しんでいる人も増え続けています。
また、外国との関係をみても、日本の国力の衰えが原因なのか、閉塞的な状態が続いています。
このような時代を生きていかなければならない私たちは、さまざまな困難に直面せざるをえません。そんな困難な人生を好転させるため、あるいは心の病で生きる気力を失った人たちのために、この本では「言葉の力」を最大限に活用することを紹介したいと思います。
なぜ、言葉が私たちに力を与えてくれるのか、まずは言霊のことからお話ししましょう。
はじめに あなたの人生を好転させる素晴らしい言葉の力
困難な時代を苦しまないで生きるためには
いったい今の日本は、どうなっているのでしょう。
経済活動も停滞し、いわゆるリストラで職を失い、会社に残ったとしても過度の労働で精神や肉体を病む人があとを絶ちません。また、子供たちはいじめなどで苦しみ、若い人は非正規採用でしか働けず、将来に展望がもてないと失望しています。もちろんうつ病などの心の病で苦しんでいる人も増え続けています。
また、外国との関係をみても、日本の国力の衰えが原因なのか、閉塞的な状態が続いています。
このような時代を生きていかなければならない私たちは、さまざまな困難に直面せざるをえません。そんな困難な人生を好転させるため、あるいは心の病で生きる気力を失った人たちのために、この本では「言葉の力」を最大限に活用することを紹介したいと思います。
なぜ、言葉が私たちに力を与えてくれるのか、まずは言霊のことからお話ししましょう。
言葉にはすごい威力がある
私たちは言葉に囲まれて生きています。そのため、ちょっとした失言が人間関係をだめにし、そのために仕事やプライベートな付き合いで大失敗した、ということもあるでしょう。
逆に、尊敬する人、信頼する人にほめられると急に自身がつき、勉強や仕事がうまくいくようになった、という経験をされた人もいると思います。親や先生からのちょっとした言葉が、自分の生き方に大きな影響を与えることもあります。
言葉はひとたび口から出ると、もはや発した人から離れて、言葉そのものが力を発揮するようになります。まるで言葉が生きていて魂があるようで、言葉に霊がこもっているとさえ感じられます。このために昔から「言葉には言霊(ことたまとも言う)がある」と言われてきたのです。
言霊とは、言葉に宿る霊的な力です。声に出した言葉が現実の事象に対して、何らかの影響を与えると信じられ、よい言葉を発するとよいことが起こり、不吉な言葉を発すると、悪いことが起こるとされてきました。
長い間、多くの人に影響を与えてきた仏教の経典や聖書などには、珠玉の言葉がつまっています。また、松下幸之助さんのような成功者の言葉にも、私たちの心を揺さぶる名言があります。このような言葉を素直に受け入れると、それを発した偉人と同じような心境になれるのです。
私がいつも使っている「困ったことは起こらない」という言葉ですが、これを唱えれば必ず成功するということではありません。「困ったことは起こらない」と口ずさんでいると、気分がよくなり、仕事もはかどり、結果的に幸運に恵まれる。
その結果、顔つきや態度や行動が人に好感をもたれ、人間関係もよくなる、というよいサイクルがあなたにやってくるのです。
言霊は心を磨き、暗い考えや希望のないマイナスの考え方にならないようにし、自然に積極的になれるようにするためのものです。結果として、この言霊が成功とか幸運をもたらすことになるのです。
科学からみた言葉の信じられない偉力
「言葉には私たちの心を変える作用がある」。これは現在の脳科学の常識です。最新の研究によるとこの鍵を握るのは、ミラー細胞という脳内の細胞です。
私たちの脳には、噦物まね細胞器といわれるミラー細胞というニューロンがあります。ミラー細胞は、情報の意味を理解する細胞です。
たとえば、相手の手の動きを見ているときに、その手がものをつかんで食べるのか、または別の入れ物に入れるのかを見分けて反応します。つまり相手の意図を理解するのです。
同じように言葉に対してもその意味を理解し反応するのが、言葉のミラー細胞です。仮に、元気が出るような言葉を聞くと、そのミラー細胞は、脳内の快感とか意欲をもたらす細胞に情報を送り刺激します。この細胞が刺激されると意欲が増して、快感をもたらします。つまり喜んで行動したりするのです。
ですから元気の出るような言葉を聞くと、私たちは本当に元気が出るのです。そして耳から聞くだけでなく、自分で元気が出るような言葉を思い浮かべると、ミラー細胞が刺激され、やはり元気が出てくるのです。
一方、自信を失わせるような言葉を聞くと、嫌悪や苦しみを感じる中枢を刺激することになり、面白くない、やる気がなくなったということになるのです。
また、他人に元気が出るような言葉をかけると、その人のミラー細胞が刺激され、その人が元気になり、その結果あなたとの関係がよくなるのです。逆に、嫌な言葉をかけるとやはりミラー細胞が刺激され、相手は非常に嫌な思いをします。あなたを嫌うようになるのです。
まさによい言葉は脳を変えるだけでなく、心までも変えてしまい、あなたをまるで別人のように素晴らしい思考や行動をする人間に変身させてしまうのです。
言葉は、あなた自身の脳と心を変えるということをぜひ覚えておいていただきたいと思います。
このように、言葉には計り知れない力があります。あなたの人生をよい方向に変えていく驚くべき神秘の力を秘めているのです。
本書では、そのようなすごい力を秘めたブッダや禅の高僧などの珠玉の名言・至言・金言を厳選し、その意味するところを具体的にわかりやすく紹介してあります。
読者の皆様がこれらの言葉を味わいつくし、今ある苦しみや困難から脱出していただけたら、著者としてこれにまさる喜びはありません。
二〇一三年 著者
プロフィール
高田明和(たかだあきかず)
1935年、静岡県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了。米国ロズエル・パーク記念研究所、ニューヨーク州立大学助教授、浜松医科大学教授を経て、同大学名誉教授。医学博士。専門は生理学、血液学、脳科学。近年は、テレビ・ラジオへの出演や講演、執筆などで心と体の健康についての啓蒙活動を積極的に行っている。また、禅の分野にも造詣が深い。
おもな著書に『魂をゆさぶる禅の名言』(双葉社)『50歳からの元気な脳のつくり方』(角川ONEテーマ21)『医者がすすめるやさしい座禅』(成美文庫)『いきいき脳トレドリル』(PHP)など多数。