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自分の「うつ」を薬なしで治した脳科学医 九つの考え方

ジブンノ「ウツ」ヲクスリナシデナオシタノウカガクイ ココノツノカンガエカタ

責めず、比べず、思い出さず

高田明和著

「言葉の力」で不安を追い払う

著者自身が長年にわたって極度のうつ状態を経験し、不安や苦しみにさいなまれてきた。さんざん苦しめられてきたうつの苦痛は、薬で癒されることはなく、「脳の機能が原因ではなく、心が苦しんでいるのだ、心のあり方が間違っていたのだ」という考え方にたどりつく。自らの「うつ体験」、そして、改善にいたる具体的な方法を詳細に語る。

主な内容

プロローグ 薬で治らない「うつ」や不安を東洋の智恵で克服する
一章 薬でもだめだった「極度のうつ」から
二章 この考え方で「うつ」から解放
三章 新しい価値観で行動して
四章 東洋の智恵から
五章 日々の心構えや工夫とともに
六章 脳科学医の私が理解した
エピローグ 「うつや過敏」は自分を救う“生存戦略”

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自分の「うつ」を薬なしで治した脳科学医 九つの考え方
価格
1430円(本体1300円)
判型
四六判
頁数
160 頁
発行日
2017.7.12
ISBN
978-4-87795-354-6

立ち読み

プロローグ 薬で治らない「うつ」や不安を東洋の智恵で克服する

うつ病大国・日本の悲惨な現状

 

 近年、心を病む人が非常に多くなっています。リストラや長時間労働、あるいはパワハラなど、経済的だけでなく、心もこわれる仕打ちに苦しんでいる人がたくさんいます。子どものいじめも後を絶たず、閉塞的な空気が社会をおおっています。

 そのような状況のなかで、日本ではこの十年で、二十八万人くらいの人が自殺しているのです。

 地震や交通事故、飛行機の墜落で多くの人が死んだ場合、社会は騒然とします。そのような事故を引き起こした理由を探り、その事故を起こした人の責任を問います。

 たとえば、エレベーターの故障で一人の人が死んだときには、製造した会社の責任、メンテナンスの会社の処理などが厳しく問われ、ときに責任者が引責するのみでなく、会社が持続しなくなったりします。

 それに比べて自殺はどうでしょうか。こんなに大勢の人が亡くなっているのに、話題にもしません。それは、人々が自殺の責任は本人にあると暗黙のうちに考えているからでしょうか。それともあまりに多くて、対処できないからでしょうか。

 自殺率は先進国のなかでも日本はとても高く、その元となるうつ病の発症率も高くなっています。

 うつ病の恐ろしいところは、苦しく不安な毎日に耐えきれなくなり自殺をしてしまうことです。自殺までいかなくても、毎日心の苦しさにさいなまれ、息も絶え絶えになっている人はたくさんいます。

 厚生労働省が発表した「二〇一四年患者調査」によると、うつ病などの気分障害(気分が正常の範囲をこえて高揚したり落ち込んだりすることが続くこと)で医療機関を受診している人は百十一万六千人となりました。これは過去最高で前回調査(二〇一一年)に比べるとおよそ十六パーセントの増加となるそうです。

 年代別にみるとトップは四十代で、次いで五十代が多く、この結果から職場の中核になる人たちがうつ状態になっていることがわかります。

 しかし、これは医療機関にかかっている患者さんの数です。さまざまな事情から医師に診てもらわず、自分一人で病を抱え込んでいる人もたくさんいるはずです。

 

たくさんの著名人もうつで苦しんだ

 

 著名人も例外ではありません。

 長年にわたり、人気番組の司会をされた小川宏さんは壮絶なうつ体験をしています。風邪だと思っていた具合の悪さが一向によくならず、なにをするにもおっくうになり、友人の医師を訪ねるも悪いところは見当たらず、忙しさもありそのままにしていました。

 しかし、病状は進行し、長年連れ添った奥さまに「遺書」を渡し(それは突き返されましたが)、ある日の朝、家を出てふらふらと踏切の前に立っていたそうです。なんとかして思いとどまったようですが、体はへろへろになり、しばらくは立ち上がれなかったと回想されています。

 女優の小山明子さんは、夫である映画監督の大島渚さんが脳溢血を患い、その後の壮絶な介護からうつ病を発症しました。介護に取り組む気持ちが真面目すぎたのが、原因のようです。四度も入院をされたほど長引いたようです。

 俳優の高島忠夫さんは明るい性格でお茶の間の人気者になりましたが、ご長男を亡くされたのがきっかけで重度のうつ病になりました。明るいキャラクターを演じなければというのも重荷になったのかもしれません。

 また、二〇一五年に交通事故で亡くなった俳優の萩原流行さんは、奥さまがうつ病を発症されたのが機になり、本人もうつになってしまいました。萩原さんの場合は、うつ状態と躁状態が現れる双極性障害だったようです。

 うつ病とはほど遠いと思われる力士もうつになっています。大相撲の元横綱・朝青龍です。病状が悪化し、車で病院に行ったとき「怖い、怖い」を連発していたようです。筋骨隆々の大横綱、向かうところ敵なしの朝青龍がなにを恐れているのか疑問に思いましたが、おそらく薬の離脱症状に苦しんでいたと確信します。

 このようにうつ病で苦しんでいる人々は枚挙に暇がありません。

 

うつ病対策のない現在の社会

 

 厚生労働省の研究班が二〇一六年にまとめた調査によると、うつ病になって病気休暇をとった大企業の社員の約半数が復帰後五年以内に再発をして、また病気休暇を取得しているということがわかりました。

 また、仕事への心理的な負担を調べる検査「ストレスチェック」をそれぞれの職場で実施した結果、負担が大きいと感じる人の多い職場ではそうでない職場に比べ、病気休暇の再取得のリスクが約一・五倍高いということがわかりました。

 これらのことは、企業や社会がうつ病の原因を究明しないでそのままにし、きちんとした対処をせず、おざなりにしていることを意味しているのではないでしょうか。

 うつ病は、最近現れた病気ではありません。私たちが自意識を獲得して以来、ずーっとうつ病はその傍らにいたのです。ですから誰にでもうつ病になる可能性があるのです。今後は、そのような視点から、もっと広範なうつ病対策がなされていてもいいのではないでしょうか。

 

私のうつを改善したブッダや禅の思考法

 

 私は子どものころから非常に変わった子だと言われてきました。人の影響を受けやすく、言われたことをすべて信じてしまうという性質です。環境の影響を非常に受けやすいので、「気が小さい」とか「臆病だ」などと言われました。このような性格は最近「超過敏」(HSP; High Sensitive Person 詳細はエピローグで述べます)と呼ばれるようになりました。

 敏感が過ぎると、不安が増してうつのような症状になります。そして、大人になってからの私は長年にわたって極度のうつ状態を経験し、不安や苦しみでいっぱいの時期がありました。しかも、困ったことにうつ病にはその当時、頼りにした薬はまったく効きませんでした。

 私はこの想像を越えた壮絶な苦しみや不安から逃れるため、うつ病のことを必死で勉強したのです。また職業柄、かなりの数の患者さんにカウンセリングをして、特徴や対処法も研究したのです。

 患者さんの症状が劇的によくなることもありましたが、思うように改善しないこともありました。そんな試行錯誤の結果、あるとき「心のあり方」が、生きる苦しみを癒すのに非常に重要だとわかってきたのです。

 やっかいなことに軽度、中度のうつ病には抗うつ剤が効かないことが多いのです。つまり、うつ病にせよHSPにせよ、脳の機能の問題でなく心のあり方の問題、考え方や価値観の問題なのです。

 今までのような自分を責め、他人と比較するような考え方を変えれば、自然と心のあり方も変わり、うつな気分がなくなります。これは仏教や禅などの東洋的な思考法とも共通します。

 私が自分のうつを改善できたのも、ブッダ(お釈迦様)の教えや禅の思考法などを実践したからです。本書では、それらの具体的な方法もかなり詳細にお示ししました。

 詳しくは、本書に譲りますが、脳科学医としてさまざまな書物を上梓してきた私でしたが、さんざん苦しんだ自分のうつの苦痛は、「脳の機能が原因ではなく、心が苦しんでいるのだ、心のあり方が間違っていたのだ」という考えにたどりついたのです。

 心のあり方とは、つまり、考え方、価値観の問題であるということに気づいたのです。

 本書が不安や苦しみに悩む多くの人にとって、少しでも癒しや回復を与えてくれることを祈っています。

 では、まず私の苦しい「うつ体験」からご紹介しましょう。

高田明和

目 次

自分の「うつ」を薬なしで治した脳科学医 九つの考え方……もくじ

プロローグ 薬で治らない「うつ」や不安を東洋の智恵で克服する

うつ病大国・日本の悲惨な現状

たくさんの著名人もうつで苦しんだ

うつ病対策のない現在の社会

私のうつを改善したブッダや禅の思考法

一章 薬でもだめだった「極度のうつ」から

「写経や座禅の力」で抜け出す

なぜか「不安や苦しさ」を感じ始める

医師でも薬でも治らず、ひどくなるばかりの重苦しさ

アメリカ留学後のうつ体験

苦しみから抜け出すため「ブッダの教えや禅の世界」を学び直す

悪をなすものは必ず苦しむ

心の重苦しさや心配事が一切なくなる「般若心経」

とらわれない、起こったことを考え続けない

般若心経を唱え写経すれば「うつ」から解放される

二章 この考え方で「うつ」から解放

「ゆがめられた考え方」を変える九つの思考法

治ろうとする「心の力」が大切

うつな心をもたらす自己否定

「ゆがめられた考え方」に反論して自分を肯定する

東洋の智恵とも共通する優れた認知療法

「ゆがめられた考え方」を変える九つの考え方

三章 新しい価値観で行動して

「うつ」を克服する

今までの価値観、生き方を変えよう

成功の道は「裏」にあると視点を変える

情報過多の時代に潜む落とし穴

他人の判断に頼らず自分の「心の目」で決断する

できるだけ見通しを立てる努力を

生きづらい人々が増えつつある理由

自分の個性を活かした考え方で行動する

四章 東洋の智恵から

「うつ」にならない生き方を学ぶ

「業」と“宇宙貯金”との密接な関係

心が楽なときには貯金を使い、苦しいときには貯金をしている

落ち込むほど幸運は早くやってくる

幸福で楽な生活は不幸を呼び込む

人間関係を円滑にする言葉遣いとは

求めないことが心の幸せへの近道

憎悪の念で他人の不幸を望んではいけない

「足るを知る」を実践した傑物たち

楽しさや幸せに奢ってしまってはだめ

「足るを知る」を心得れば自らを危険にさらさない

五章 日々の心構えや工夫とともに

「言葉の力」を信じて不安や苦しさを追い払う

「言葉の力」で苦しみを追い払う――困ったことは起こらない

言葉の力で苦を追い払う――責めず、比べず、思い出さず

日々実行すべき処世訓――早く飛び込めば早く苦しみから抜けられる

日々実行すべき人生訓――やっただけのことはある

掃除は心を磨く

不遇でつらいときこそ、じっと耐えて目立たない

他人に尽くしていれば苦しい心から解放される

人知れずよいことをすると徳に利息がつく

疑わず我慢してでも信じきる

六章 脳科学医の私が理解した

心を不安にさせる「うつ」とは

うつ病とは愛を与えることも受け取ることもできなくなること

薬に頼ってはいけない

薬物療法の限界

うつ病を診断する基準とは

診断と原因の特定がとても難しいうつ病

昔のうつ病は生まれつきとされていた

心のあり方を変えてうつを克服する

 

エピローグ 「うつや過敏」は自分を救う“生存戦略”

うつとは違う「敏感すぎる人」HSPとは

いつもびくびくしながらの大学時代

他人との「境界」が薄いので影響をもろに受けてしまう

あなたのHSP度をチェックしてみよう

苦しむこと、過敏なことはあなたを救う

あなたを守る「うつや過敏」

プロフィール

高田明和(たかだあきかず)

1935年、静岡県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了。米国ロズエル・パーク記念研究所、ニューヨーク州立大学助教授、浜松医科大学教授を経て、同大学名誉教授。医学博士。専門は生理学、血液学、脳科学。近年は、テレビ・ラジオへの出演や講演、執筆などで心と体の健康についての啓蒙活動を積極的に行っている。また、禅の分野にも造詣が深い。

おもな著書に『魂をゆさぶる禅の名言』(双葉社)『50歳からの元気な脳のつくり方』(角川ONEテーマ21)『医者がすすめるやさしい座禅』(成美文庫)『いきいき脳トレドリル』(PHP)『責めず、比べず、思い出さず』『念起こるこれ病なり 継がざるこれ薬なり』など多数。