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総合出版 コスモ21

頭にいい、体にいい、楽しい本満載!

パパとママがふたりで取り組む幸せいっぱい母乳育児

パパトママガフタリデトリクムシアワセイッパイボニュウイクジ

夫婦の絆 家族の土台 赤ちゃんの才能開花

堀田久美著

本書はママも赤ちゃんもパパもハッピーになる本物の母乳育児入門書です。

男女共同参画の時代、男性の育児参加は当たり前になりつつあります。助産師さんの間では「今どきのパパは母乳以外なら何でもできる」と話題になることも。何でもできそうなパパですが、母乳育児だけはパパにはできないし、母乳育児をしているママを陰ながら支える脇役と思われています。以前の著者も、助産師として同じように考えていたといいます。
その考えがひっくり返された体験が本書の最初で紹介されています。
「パパが二人羽織のようにしてママの後ろから手を出し、ママの乳房と赤ちゃんの頭を優しく支えました。ママは両腕を輪にして赤ちゃんのお尻の下に置いてパパの作業を見守り、赤ちゃんが口を開けるタイミングを見計らって乳首をくわえさせたのです。まさか、こんな形でパパが授乳に参加するなんて……」
「フラフラのママを休ませようと、パパが赤ちゃんを担当。お腹を空かせて泣く赤ちゃんにミルクをあげようとしても哺乳瓶を拒否。困り果てたパパは、ぐっすり寝ているママのお乳を拝借して授乳を開始。うっくん、うっくんと音を立てて吸われる刺激に目を覚ましたママは笑い転げたそうです」
著者は助産師として長年助産院を営むとともに、東京大学院博士課程で研究にも取り組みながら、本物の男女共同参加育児を推進してきました。本書を読むと、「パパとママがいっしょに取り組む母乳育児こそ、パパとママが根っこでつながる育児体験である」「パパといっしょの母乳育児でママは幸せオーラいっぱいになる」ことを実感でき、そのための具体的な実践方法も知ることができます。

主な内容

はじめに パパと母乳育児の意外な関係
Chapter1 パパだからできる母乳育児の実践法
Chapter2 母乳育児が赤ちゃんの土台をつくる
Chapter3 母乳育児はパパの“器”を磨く
Chapter4 パパといっしょの母乳育児でママは幸せオーラがいっぱい
Chapter5 パパとママが根っこで共鳴し合える育児体験

詳細な目次のページを開く

パパとママがふたりで取り組む幸せいっぱい母乳育児
価格
1760円(本体1600円)
判型
四六判
頁数
168 頁
発行日
2025.8.1
ISBN
978-4-87795-442-0

立ち読み

はじめに パパと母乳育児の意外な関係

母乳育児って、ママの専売特許じゃない!?

 男女共同参画の時代、男性の育児参加が当たり前になりつつあります。

 パパも育児休業を取って、積極的に家事や子育てをする姿を目にすることも増えました。「今どきのパパは母乳以外なら何でもできる」なんて話題が助産師の間で出るほどです。そう、助産師はもちろん多くの人は、母乳育児に関しては、何の疑いもなくパパにはできない、もしくは、母乳育児をしているママを陰ながら支える脇役と思い込んでいます。

 実は助産師歴20年以上の私もそうでした。しかし、その考えをひっくり返してくれたご夫婦がいました。

二人羽織のような光景が……

 ある産後ケアの訪問でのことです。ご夫婦で、訪問した私を出迎えてくれました。シュッと背の高い少し濃い印象のパパと、さらっとナチュラルな所作のママが「あーでもない、こーでもない」と赤ちゃんのお世話をしていて、とても初々しいなぁという印象でした。

 ご相談内容は、赤ちゃんがうまくお乳を吸えないとのこと。私が赤ちゃんの抱き方や乳房の支え方など、通常モードでお話をしながら授乳のコツをママに伝授していたそのときです。パパがママを後ろから抱え込むようにして、そっと手を伸ばしてきたのです。

 私は突然のことに驚き、何とも言えないパパの圧を感じながらも、平静を装うのに精いっぱい。パパがママの乳房と赤ちゃんの頭を優しく支え、ママは両腕を輪にして赤ちゃんのお尻の下に置いてパパの作業を見守ります。二人で赤ちゃんが口を開けるタイミングを見計らって「えいっ」なんて掛け声をかけあって乳首をくわえさせようとするのです。まるで、私がいることを忘れちゃっているかのように、どうしたらうまく吸わせられるかと、二人の世界に入って試行錯誤を始めました。

 昔よく見た、正月のバラエティー番組の二人羽織のような光景で、それがあまりにも微笑ましくて、こらえきれずにニヤけてしまいそうでした。私は、その表情に気がつかれないようにうつむいて、パパとママから顔を隠しました。そして、看護学生に教えるときのように、手取り足取りパパに授乳介助の方法をレクチャーすることになったのです。

 パパとママ、二人に支えられてお乳を飲む赤ちゃん。まさか男性がこんな形で授乳に参加するなんて、私は目から鱗が落ちる思いでした。

ママのお乳を拝借して授乳……

 また、こんなエピソードを聞かせてくれたご夫婦もいました。

 眠れずフラフラのママを休ませようと、パパが赤ちゃんを担当。ところが、お腹を空かせて泣く赤ちゃんにミルクをあげようとすると、赤ちゃんは哺乳瓶を拒否してギャン泣き! 困り果てたパパは、ぐっすり寝ているママのお乳を拝借して授乳を開始。

「うっくん、うっくん」と音を立てながら乳首を吸われる刺激に、途中で目を覚ましたママは笑い転げたそうです。「勝手にひとのおっぱい使って」と嬉しそうに教えてくれました。

 母乳育児って、ママの専売特許じゃないんですよね。心の底から実感しました。もっと自由に柔軟で良いのです。

 パパは乳汁が出ないから母乳育児はできない。

 ミルクは哺乳瓶で飲ませるもの。

 そんな思い込みに縛られるのではなくて、もっと工夫したり、体感したりしながら夫婦で楽しんで取り組めたら素敵なんじゃないかと思います。通常ならば、ママに対して母乳育児を推奨する立場である助産師の私がこのことをお話しすると、「えっ? ママの母乳育児ではなくて、パパとママで母乳育児?」と驚かれることがよくあります。

 授乳がうまくいかずに苦しんでいるママにどう声を掛けたら良いかと悩んでいたときに、たくさんのご夫婦から〝パパとママのふたりで取り組む〟という視点を教わりました。この本では、出産直後から始まる授乳について、パパとママが二人で取り組む母乳育児として紹介しています。

母乳育児でパパもママも赤ちゃんもハッピーに!

 長年、助産師をしていると、ママ一人で母乳育児をしていることが辛いとか、母乳がうまく出ないとか、赤ちゃんがうまく飲んでくれないなどと悩んでいる方にたくさん出会います。そして、そうしたママたちのケアに携わっている助産師や、地域で育児支援をしている方たちからも、同じような悩みを聞いたりアドバイスを求められたりすることがよくあります。

 以前の私もそうでしたが、支援者は教科書的な思い込みや枠組みの中で母乳育児をとらえがちです。でも先にご紹介したご夫婦との出会いが、出産、育児の専門家である私に母乳育児の素晴らしさを再認識させてくれました。これまで母乳育児といえば、ママにしかできないというのが常識でした。でも、そこにパパも当たり前のように参加するって素敵じゃないですか? 母乳育児にだっていっしょに取り組めば、ママも赤ちゃんも、そしてパパも今まで以上にハッピーになるに違いありません。この本は、そのことを伝えるために書いたものです。出産直後から始まる母乳育児。こんな方法もあるんだと柔軟に考えてみてください。

 育児には、いろいろな方法や考え方があります。ひとつの正解に縛られて「こうじゃなきゃいけない」と思いつめる必要はありません。そして、自分では思いつきもしなかったようなアイデアや工夫に出会えたら、それはきっと、困難に直面したときの心強い味方になるはずです。

 大切なのは、パパもママも赤ちゃんも心地良く過ごせること。うまくいかないときこそ、方法論にとらわれずに〝やわらかい気持ち〟を持ち続けてほしい――そんな思いを込めて書きました。

 本書が、パパとママと赤ちゃんの日々に幸せな時間をもたらすお手伝いができたら嬉しいです。

目 次

パパとママがふたりで取り組む幸せいっぱい母乳育児……もくじ

はじめに パパと母乳育児の意外な関係

母乳育児って、ママの専売特許じゃない!?

 二人羽織のような光景が……

 ママのお乳を拝借して授乳……

母乳育児でパパもママも赤ちゃんもハッピーに!

Chapter1 パパだからできる母乳育児の実践法

1「千手観音戦法」で安定授乳(授乳介助)

赤ちゃんが喜ぶ抱っこの仕方

乳首が短めで吸いにくいとき

おむつ交換のコツ

授乳時のロングゴム活用

2母乳工場の生産性を向上させよう

血流促進ケア「肩甲骨回し」

血流促進ケア「猫のポーズ」

血流促進ケア「肩と背中をやさしくマッサージ」

【コラム】ママのぐっすり眠る時間を確保にパパが一役

母乳量を増やすホルモンUP! の実践法

NG集

3「パパはテクニシャン」と言わせるために

手指にチューブを装着して授乳を行うフィンガーフィーディング

使用後は哺乳瓶洗浄液で洗浄

乳房に装着したチューブからミルクを流しながら授乳

4おっぱいトラブルから妻と子を救え

★乳首トラブル

母乳の正しい吸い方・外し方

乳首のトラブルと対処法

カップフィーディング

【コラム】乳首カンジダに注意!

★乳房トラブル

【パターン1】出産後1週間くらいまでに起こる乳房うっ積

 スキル1:乳首圧迫

 スキル2:基底部マッサージ

【パターン2】うっ滞性乳腺炎や感染性乳腺炎

【パターン3】蜂窩織炎

5子育てハーモニーと時間割

Chapter2 母乳育児が赤ちゃんの土台をつくる

1才能開花の土台は赤ちゃんのときに感じる「安心感」

2才能開花には「健康」も大事

3母乳育児で自然に濃密なスキンシップができる

赤ちゃんの発達体操

4五感を育てる母乳育児

【触覚】/【味覚】/【聴覚】/【嗅覚】/【視覚】

5母乳育児はパパとママがいっしょに取り組む最初のチャレンジ

Chapter3 母乳育児はパパの〝器〟を磨く

1育児には男性性と女性性のバランスが大切

2蜜月の関係に仲間入りしよう

3母乳育児でパパも健康に

4身体感覚で結ばれる絆

5デュアルタスク脳の育成

Chapter4 パパといっしょの母乳育児でママは幸せオーラいっぱい

1独りきりで背負うのは辛すぎる

2ふたりのきずなを深めるチャンス

3母乳育児がママの健康を守る

4授乳と快楽

5母乳育児が生み出す揺るぎない自信

Chapter5 パパとママが根っこで共鳴し合える育児体験

1産後クライシスを回避しよう

2家族を支える強さが身につく

3パパとママの母乳育児は家族の土台づくりのスタートに最適

4違いを愉しむ遊び心があるだけで違ってくる

5体験の共有が深層心理に刻まれる

おわりに 「過去の精一杯を慈しむ」

プロフィール

堀田久美(ほったくみ)

静岡県富士市生まれ。菜桜助産所院長。双子を含む三人の娘を育てながら、2001年に助産所を開設。助産師・保健師・看護師・保育士の資格を持ち、現在は訪問看護ステーション3カ所と一時保育事業所も経営。東京大学大学院にて「分娩による骨盤底筋の損傷」を研究し、保健学博士を取得。分娩や母乳ケアのみならず、骨盤底筋ケアにも力を注いでいる。また、「女生満喫」をテーマに、フェムケアやビジネスコーチとしても活動。“女”としての人生をとことん味わうライフスタイルを提案している。2017年にはJ300アワード大賞、2018年には内閣府男女共同参画局「女性のチャレンジ賞特別部門賞」を受賞。