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総合出版 コスモ21

頭にいい、体にいい、楽しい本満載!

改訂版 頭がいい親 13歳からの子育て

カイテイバン アタマガイイオヤ 13サイカラノコソダテ

この子とどう向き合ったらいいの?

木村慶子、高橋愛子共著

「子育てバイブル」最新バージョン!

思春期のお子さんを抱えて右往左往する母親の悩みが一瞬で解ける「子育てバイブル」改訂版。著者は双子の姉妹で、姉は小児科医(元慶應義塾大学教授・医学博士)、妹はカウンセラー(家庭教育研究所所長)。それぞれ異なる分野で子どもたちや親に接し、またそれぞれ三人、四人の子を育てた。これを読めば、わが子へのまなざしが変わる、対し方が変わる!

主な内容

1章 13歳からの危機に立ち向かうには
2章 これだけは知っておきたい子どもの心と体
3章 「第二の誕生」から始まる思春期こそ親のサポートが必要
4章 思春期には自立を助ける親の配慮が重要
5章 親のカウンセリング・マインドが大切
6章 これからの日本の子育て・教育の基本

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改訂版 頭がいい親 13歳からの子育て
価格
1430円(本体1300円)
判型
四六判
頁数
206 頁
発行日
2015.11.10
ISBN
978-4-87795-327-0

立ち読み

はじめに

 子育てに失敗はありません。

 大切なのは、結果にばかり気をとらわれることなく、なぜそうなったのか原因を突き止めて、そこから子育てのやり直しをすることです。足りなかったところをもう一度やり直していけばいいのです。

“ケガの功名”という言葉もありますように、親も子どもも、失敗したからこそ学べることがたくさんあるのです。

 それには、「体が大きくなってくるにつれて、何を考えているのかわからなくなってしまった」と嘆く前に、思春期の子どもの心と体について、しっかりとした「知識」をもつことです。

 百人の子どもがいれば、百通りの子育てがあるのでしょうが、子どもが一人の人間として成長していく過程には共通した原則があることも見逃せません。

 子どもを思う親の愛情、そして親子の信頼関係が大切なのはいうまでもありません。それに加えて、子育てのための確かな「知識」に基づいて、よりよく子どもを導いてあげることが求められているのです。

 このごろの子育てには、とくにこの点が見失われているように思えてなりません。しかも、思春期の子どもが起こす問題は、親の想像をはるかに超えて多岐にわたり、ますます深刻度を増しています。不登校、引きこもり、家庭内暴力、いじめ、校内暴力、援助交際、薬物乱用、恐喝、窃盗、家出など枚挙にいとまがありません。

 さらに気になる点として、表面上は特別の問題がないように見える子ども、いわゆる“いい子”“ふつうの子”が問題を起こす傾向が増えてきていることです。

 思春期、とくに13歳くらいからは子どもの時代に別れを告げて大人の世界に入っていく時期で、子どもたちは心身ともに激しい変化にさらされます。

 子ども自身はもちろん、親にとっても、この思春期という人生の大波をのり越えていくには相当なエネルギーが必要です。いったいどうしたら、そんなエネルギーを備えておくことができるのでしょうか。

 私たち双子の姉妹(木村慶子と高橋愛子)の生まれ育ちには、ふつうの姉妹以上に共通したバックボーンがあると思いますが、成人してからは小児科医として、またカウンセラーとして、それぞれ異なる分野で子どもたちや、その親御さんたちと接してきました。

 同時に私たち自身も親として自分の子どもたちに向き合い、子育てという共通のテーマを探っていくうちに、親がもう少し子どもの成長について確かな「知識」をもつ必要があるのではないか、という一致した考えをもつようになりました。

 とくにこの本では思春期の子どもの心と体について取り上げていますが、なかでも思春期の入り口(前思春期 11〜12歳)は、子どもが乳児として誕生(「第一の誕生」)してから、もう一度誕生し直す「第二の誕生」の時期なのです。

 生まれたばかりの赤ちゃんは、無言のうちに母親と「心の絆」、すなわち信頼関係を結ぼうとします。それが人生を生きる基盤になるからです。母親が抱っこしたり、頬ずりしたりすると、その温もりで赤ちゃんの心は母親のなかに溶け込み、安らいだ気持ちになります。

 子どもの成長段階には、そのような親子の絆をもう一度結び直す機会があります。それが、「第二の誕生」である思春期の入り口なのです。

 小学校の3、4年生の妹さんは元気なのに、いままで活発だった5、6年生のお兄ちゃんのほうが赤ん坊っぽく見えることがあります。

 それは、いよいよ思春期を迎えて子どもから大人に生まれ変わっていくスタート時点に立たされたものの、情緒的には不安で不安でたまらず、まさしく“大人の赤ちゃん”のようになっているからです。

 ここは、子どもが母親に甘えられる最後の時期なのです。いよいよ大人として飛び立つための自分探しに一人で突入して行かなければならない。その前に、もう一度、母親との精神的なつながりを確認しようとするのです。

 第一の誕生である乳幼児期に親子の葛藤があった場合には、なおさらこの時期に親との絆を確かめようとするでしょう。

 親の気持ちとしては、体が大きくなり大人に近づいたなと思っていたのに、やけに子ども返りしているようで心配かもしれません。しかし、そんなときこそ、しっかり抱きしめて母親の愛情を確認させてあげる、信頼関係を確認させてあげる、安心させてあげることが、子どもの大きな力になります。

 それこそ、微妙に危うく揺れ動きはじめる13歳からの心を支える基盤になるのです。

 そのためにも、子どもが思春期を迎えるころになったら、親は子どもが生まれたときの親の気持ちに戻ることをおすすめします。目の前の子どもに“ないこと”“できないこと”ばかり期待していないか、ちょっと振り返ってみてください。もしそうならば、子どもも親も不安になるばかりです。

 それよりも、いま目の前の子どもに“あること”“できること”に目に向けてください。それが見えてくれば親の心には安心感が広がってきます。その気持ちは、思春期で心が揺れている子どもにも必ず伝わります。

 本書は、前著『頭のいい親の13歳からの子育て』の改訂版として出版したものです。思春期を迎える子どもに対して親としてどう向き合ったらいいのか、さらに新しい情報も加えて、読者のみなさんがいっしょに考えていただけるように工夫してあります。

 子育て全体において、とりわけ13歳前後からの子育てにおいてぜひ知っておいてほしいことをさらに充実させ、確かなガイドをさせていただきました。子育てに迷ったとき、不安になったとき、これだけの「知識」があるだけでも、きっと子どもと関わり合うヒントをつかんでいただけると思います。

 何より、激しく変化する社会環境のなかで、思春期を迎える子どもたちを親として支えるための確かな羅針盤になれば、これ以上の幸せはありません。

目 次

改訂版 頭がいい親 13歳からの子育て  もくじ

はじめに

1章 13歳からの危機に立ち向かうには

13歳からは“自分探し”の戦場

あんなに素直だったB君が思春期に入ったとたん急変

不安いっぱいの母親の気持ちが揺れるS君の負担に

切ないほどに親を求めるY子さんの心の叫び

「私を愛してほしい」と「お母さんが幸せでいてほしい」

母親の悲しむ姿がつらくて不登校になったK子さん

親の気にる子どもの行動には意味がある

“注目を集める”

“力を誇示する”

“復讐する”

“無能さを示す”

子どもの気持ちを汲みとるアンテナをもっと高く

親の対話力も大切

2章 これだけは知っておきたい子どもの心と体

子どもは大人を小さくしたものではない

「第一の誕生」と心の育ち方

母性愛に対する敏感期

思春期をのり越えるための“お守り”

心の発達における「人生の8段階」

乳児期/幼児前期/幼児後期/学童期

子どもの体は「成長」と「発達」が同時進行

脳の発達段階

反射的な運動能力は10歳までに決まる

3章 「第二の誕生」から始まる思春期こそ親のサポートが必要

思春期は性ホルモンの働きによって始まる

「第二の誕生」から始まる思春期五つのステップ

前思春期[小学5〜6年生]

思春期前期[中学生の年代]

思春期中期[高校生の年代]

思春期後期[大学生の年代]

後思春期[社会人になって家庭をもつまでの年代]

前思春期は子育てやり直しのチャンス

自己同一性の確立こそ「大人になる」こと

思春期・青年期/若い成人期/成人期/老人期

「思春期」のつまずき

思春期の子どもの特徴的な現象

防衛/攻撃者への同一化/退行

思春期に起こる問題はここがポイント

家出・薬物乱用〈R子さんの不登校、そして家出〉

いじめ・不登校〈家庭の雰囲気の変化が学校に行くきっかけに〉

引きこもり・家庭内暴力〈「ママなんか死ね」と思うほど母親に反発していたA子さん〉

援助交際〈駅前で援助交際を仕掛けていた女子高生〉

万引き〈母親が自分の気持ちを大切にしてくれると感じたF子さん〉

子どもが被害を受けたときの対応

親のあり方

4章 思春期には自立を助ける親の配慮が重要

思春期のまま親になっている?

自分に100点満点をつけることから始める

親に必要な四つの力—自立する力・対話する力・情報力・食事力

自立する力/対話力/情報力/食事力

親子密着型の子育ては親離れ・子離れの障害に

一人の女性として輝く姿を見せる

父親のいいところをPRするのも母親の仕事

思春期四つの不安

存在に対する不安/能動性に対する不安/相互性に対する不安/自我に対する不安

「みんなちがって、みんないい」と認める

5章 親のカウンセリング・マインドが大切

思春期にあってこそ親子の対話が大事

心の自由を拘束する「禁止令」

親の過度の期待は劣等感や自己否定の元凶に

相手の気持ちまで汲みとれるのが本当の聴き上手

いまほど親の言葉が重要な時代はない

6章 これからの日本の子育て・教育の基本

日本の子育てはうまくいっていない

親自身をサポートする環境づくりを

子育てこそ最高の事業

 

おわりに

プロフィール

木村慶子(きむらけいこ)

昭和13年東京生まれ。高橋愛子とは双子姉妹の姉。慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。元慶應義塾大学教授。三女の母親。平成3年から1年間、ドイツ・ケルン大学医学部小児思春期精神神経科に客員教授として留学。現在、「子どものための心と体の予防医学センター」所長。各種医学専門誌に文献掲載多数。