頭がいい親の上手な叱り方
シンソウバン アタマガイイオヤノジョウズナシカリカタ
現場カウンセラーが証す上手なコツ!!
高橋愛子著
何度叱っても同じことをする、怒れば怒るほど屁理屈をこねる、こちらが叱らなければ何もしない。お母さんの必死の「叱り」は、子どもの心になかなか届かない。嘘をついたとき、物を必要以上に欲しがるとき、忘れ物が多いとき、乱暴な態度を見せたとき……この一冊でこんなときの叱り方がみえてくる!
主な内容
1章 甘えさせてこそ「叱り」は生きる
2章 これこそ子どもを伸ばす叱り方の極意
3章 叱りたくなる子どもの上手な育て方
4章 家族の幸せはお母さんのゆとりから
- 価格
- 1430円(本体1300円)
- 判型
- 四六判
- 頁数
- 192 頁
- 発行日
- 2005/5/30
- ISBN
- 4-87795-072-9
立ち読み
叱るとは応援すること
離れ小島でたった一人で生きていくのであれば、叱ることも叱られることもないでしょう。しつけなどとはまったく無縁に、それこそ自由奔放に本能のまま生きていけばいいのです。
叱るとは応援すること
離れ小島でたった一人で生きていくのであれば、叱ることも叱られることもないでしょう。しつけなどとはまったく無縁に、それこそ自由奔放に本能のまま生きていけばいいのです。
しかし、人間はどうしても「オギャー」と産声をあげた瞬間から人間社会という組織の一員となります。集団で生きていくには、そのなかのルールを知らなければ幸せにはなれません。つまり、人間社会のなかで楽しく、幸せに生きていくためのルールやマナーを教えてあげること、その子が生きていくのが日本であれば、日本の習慣や伝統、文化を教えてあげること、それが「しつけ」です。
そして、それができないときや、わき道に逸れそうになったときに、教え導いてあげることが「叱る」という行為なのです。
私は、叱るにはその子の生きていく力を減らさずに、持って生まれた“命の力”を完全燃焼させてあげるために「応援する」という意味があると思っています。ところが、お母さんたちは、注意したり感情むき出しに怒ることが叱ることだと勘違いしやすいのです。 怒るというのは、しつけでも何でもありません。
はっきり言えば、単なるイライラの矛先を子どもに向け、自分の感情をぶつけているにすぎないからです。怒鳴りつけることで子どもは怯え、お母さんに従うかもしれませんが、それはお母さんが怖いからで、決して子どもがその行為を悪いことだと理解し、納得して行動しているのではありません。厳しい叱責や体罰は、人を恐れる原因になったり、子どもの心に深い傷を負わせるだけの負の行為だと言っても過言ではないのです。
こうして子どもの生きる力を奪うような叱り方をしているお母さんが年々増えていることに、私は危機感を抱かずにはいられません。ほとんどの場合、子育ての成果は思春期になるまでわかりません。親にただただ抑えつけられてきた子どもたちの多くが、思春期になると心に大きな悩みを抱え、健全な形で自分の命を生かしきることができず、不登校、自殺にまで追い込まれている現状には目をつぶれません。
また逆に子どもを叱れない、叱らないというお母さんも増えていますが、もちろんそれも叱るという形での子どもへの応援を放棄した冷酷な態度の一つと言えるでしょう。
子育て環境が悪化している現代だからこそ、親の愛情がしっかりと伝わるような「応援」としての上手な叱り方を身につける必要があるのではないでしょうか。
イラスト=日高康志
プロフィール
高橋愛子(たかはしあいこ)
昭和13年東京生まれ。三男一女の母親。慶應義塾中等部から慶應義塾大学経済学部卒業。昭和58年に「高橋愛子家庭教育研究所」を設立。家族が笑顔を取り戻す「心の相談室」を主宰。引きこもりや家庭内暴力等にも取り組む。家庭学級、保育園、学校、各種団体、企業等で教育講師、講演者として活躍。『たけしの日本教育白書』『太田光の私が総理大臣になったら』などTV主演も多数。主な著書に『頭がいい親の上手な叱り方』(コスモ21)『甘えさせると子どもは伸びる』(PHP新書)他がある。