自閉症と広汎性発達障害の生物学的治療法
ジヘイショウトコウハンセイハッタツショウガイノセイブツガクテキチリョウホウ
自閉症や発達障害に関する効果的な最新治療法についてのわかりやすいガイド
ウィリアム・ショー著
現在の研究や医学的治療法を要約した
自閉症や広汎性発達障害(PDD)の治療法に役立つ現在の研究や医学的治療法を要約したガイドブック。衝撃的な出会いと語る小児科医の向後先生は、「本書の内容を1人でも多くの小児科医に知っていただき、1人でも多くの発達障害で家族ぐるみで苦しんでいる方々の手助けができればと、切に感じています」との推薦を寄せている。
主な内容
感染症、抗生物質、ワクチンと自閉症、広汎性発達障害との関連性:選択治療
有機酸検査、酵母菌の副産物、それらと自閉症との関係
自閉症における免疫不全、食物アレルギー、免疫系の酵母菌抑制
予防接種と自閉症
自閉症の原因としての先天性代謝異常
自閉症の栄養学的治療
自閉症、注意失陥障害:ある家族の克服までの道のり
道を切り開くこと――自閉症を克服したある子どもの記録

- 価格
- 4180円(本体3800円)
- 判型
- A五判
- 頁数
- 384 頁
- 発行日
- 2011.2.14
- ISBN
- 978-4-87795-203-7
立ち読み
はじめに
『自閉症と広汎性発達障害の生物学的治療』の第1版が1998年に出版されて以来、自閉症の分野において多くの進歩が見られました。最も重要な進歩は、自閉症をもつ子どもの消化器系の機能と構造における異常性の発見で、これはロンドンのロイヤル・フリー病院(Royal Free Hospital)のアンドリュー・ウェイクフィールド博士と、メリーランド大学医学部のキャロリー・ホバス博士によって発見されました。
ウェイクフィールドの仮説は、これらの消化器系の異常性が、はしかの予防接種による消化器官の感染病と関連しているものと考えられています。この菌が自閉症をもつ子どもの消化器系の生体検査において検出されたということも、彼の仮説を支えているといえます。
また、自閉症をもつ子どもから、いくつかの重金属が高濃度で検出され、自閉症を引き起こされるといわれる様々な原因に対して、その重金属を取り除いた後に自閉症状も減少したことが報告されています。
自閉症の発症率の増加は、アメリカ各州のみならず、その他の国々でも起こっていると確認されています。テッド・ページ、メアリー・コールマンやその他の研究者たちは、プリン代謝の欠陥を引き起こす遺伝病を研究していましたが、この疾患のサブグループの自閉症的症状が、単にプリンのサプリメントを与えることで克服しうるということを発見し、この実績はとても喜ばしいことです。
第1版で紹介された、グルテン・カゼイン制限、抗真菌療法、ガンマ・グロブリン療法やセクレチンの服用などは、数千の保護者や医師の経験とスタディの両方によってその効果が確認されています。
第1版で記したように、この本を書く目的は、生化学、免疫学、遺伝学、栄養学、微生物学の分野の情報を、自閉症、ADD(注意欠陥障害)やPDD(広汎性発達障害)に対し、このような障害をもつ子どもに接する保護者、専門家、栄養士や栄養学者、医師が導入、利用できるような形へと統合していくことです。自閉症やPDDをもつ子どもの保護者、その中には多くの医師も含まれますが、彼らがこれらの障害に関する多くの情報を提供してくれました。
はじめに
『自閉症と広汎性発達障害の生物学的治療』の第1版が1998年に出版されて以来、自閉症の分野において多くの進歩が見られました。最も重要な進歩は、自閉症をもつ子どもの消化器系の機能と構造における異常性の発見で、これはロンドンのロイヤル・フリー病院(Royal Free Hospital)のアンドリュー・ウェイクフィールド博士と、メリーランド大学医学部のキャロリー・ホバス博士によって発見されました。
ウェイクフィールドの仮説は、これらの消化器系の異常性が、はしかの予防接種による消化器官の感染病と関連しているものと考えられています。この菌が自閉症をもつ子どもの消化器系の生体検査において検出されたということも、彼の仮説を支えているといえます。
また、自閉症をもつ子どもから、いくつかの重金属が高濃度で検出され、自閉症を引き起こされるといわれる様々な原因に対して、その重金属を取り除いた後に自閉症状も減少したことが報告されています。
自閉症の発症率の増加は、アメリカ各州のみならず、その他の国々でも起こっていると確認されています。テッド・ページ、メアリー・コールマンやその他の研究者たちは、プリン代謝の欠陥を引き起こす遺伝病を研究していましたが、この疾患のサブグループの自閉症的症状が、単にプリンのサプリメントを与えることで克服しうるということを発見し、この実績はとても喜ばしいことです。
第1版で紹介された、グルテン・カゼイン制限、抗真菌療法、ガンマ・グロブリン療法やセクレチンの服用などは、数千の保護者や医師の経験とスタディの両方によってその効果が確認されています。
第1版で記したように、この本を書く目的は、生化学、免疫学、遺伝学、栄養学、微生物学の分野の情報を、自閉症、ADD(注意欠陥障害)やPDD(広汎性発達障害)に対し、このような障害をもつ子どもに接する保護者、専門家、栄養士や栄養学者、医師が導入、利用できるような形へと統合していくことです。自閉症やPDDをもつ子どもの保護者、その中には多くの医師も含まれますが、彼らがこれらの障害に関する多くの情報を提供してくれました。
この本に書かれてある情報は、自閉症をもつ個人のみならず、自閉症状の一部と相似している広汎性発達障害(PDD)、レット症候群、ウィリアム症候群、神経線維腫症、結節性硬化症、脆弱X染色体症候群、ダウン症候群、トウレット症候群、プラダー・ウィリ症候群や注意欠陥障害(ADD)をもつ個人にも有効です。
自閉症の異常性の多くは、これらの障害にも見られ、自閉症のためにこの本で推薦されている治療法はそれらの障害をもつ子どもや成人にも有効であると思われます。私の目標は、自閉症やそれらに関連した障害の異常性を記し、多くの子どもや成人に有益であった治療法のいくつかを紹介することです。この本で紹介された治療法を実行して、実際に自閉症を克服した子どももいますが(克服した子ども2人の母親の体験記もこの本に紹介されています)、私は、これらの治療法が全ての子どもにとって有益であると言っているのではなく、彼らがある程度まで改善を望めるということを伝えたいのです。
『自閉症と広汎性発達障害のための生物学的治療法』は、現在ではスペイン語、ドイツ語、オランダ語、中国語などにも翻訳され、それ以外の言語でも出版される予定です。この本で話題にされる治療法は世界各国で効果的であるという感想を受けています。
子どもが自閉症を克服した2人の母親の体験記は、2人が共に相似している治療法を行ったという点で、とても重要です。両方の母親が情報を入手し、個人で治療法を行いました。両方の子どもが2歳前後という比較的幼い時期に診断されています。2人とも他を頼らずに抗真菌療法、抗イースト食(低糖、フリーイースト)、食物アレルギーの治療、グルテン/カゼインフリーダイエットを行ったことが重要な礎となり、また集中的行動療法も行っていました。
この本の中で、それぞれの著者の栄養的、抗真菌療法にわずかに違いがあることに気づかれるでしょう。その違いに困惑されるかもしれませんが、これらの情報は、多くの「未知」なるものが未だ存在するという事実を反映しているにすぎないのです。これを踏まえた上でどれがあなたの患者や子どもに有益かを決めるために、異なる栄養的、抗真菌性療法で治療法を実施すべきでしょう。
この本の内容は理解するには容易ではないかもしれませんが、あらゆる方法を使い、意味を変えずに分かり易く伝わるよう努めました。知識は力です。ここに記されてある情報の多くは、保護者や医療専門家にとっても聞き慣れたものではないかもしれません。この本を読む保護者のみなさんは、担当医や神経学者、その他の専門家たちでさえも、この本を読んだ後でも自閉症についてほとんど分かっていないということを知っておいてください。
ごく最近まで、これらの情報のほとんどが、医療における特別な専門家用の研究論文の形でのみアクセスが可能であったので、特定の専門家以外の人たちにはほとんど知られていませんでした。
自閉症やPDDに関する応用的な知識の増加は、1995年ダラスで開催された、バーナード・リムランド博士によるDefeat Autism Now(DAN!)の会議で集まった医師や科学者のグループによって始まりました。
私のゴールは、この本が、あなたの子どもがより健康によりよく体が機能し、結果としてあなたもお子さんもよりよく生きられることを可能にしていくことにあります。ここで推薦された治療法が「不完全」で「実質的でないデータ」に基づいていると批判されるかもしれません。抗生物質や予防注射を疾患の治療として与えることは有益であることを認めるにしても、抗生物質や予防注射の過度使用はその個人に対して物質的に有害であることが分かっています。
私たちの子どもたちに及ぶ危険性は、そのデータが完璧であることを待つほど小さなものではなく、データの収集は、長期間かかると思われます。赤十字は、第二次世界大戦時のナチによる強制収容所において、多くの大量虐殺の報告があるにも関わらず、「決定的」というより「実質的でない」という理由から、ユダヤ人側に立ってサポートをしませんでした。肺ガンと喫煙の関係が示された最初の研究から、未成年の喫煙制限が実施されるまで、50年の月日がかかっています。
フォリン酸供給が脊椎披裂とよばれる欠陥を防ぐという事実が発覚して25年後に、フォリン酸サプリメントが妊婦に勧められ始めました。子どもたちの安全を保証する賭けは、一生待ち続けることができないほど、重要なものなのです。
ウィリアム・ショー博士
プロフィール
ウィリアム・ショー(うぃりあむ・しょー)
ノースキャロライナ大学医学部において、生化学、人類整理学の博士号を取得。また、アメリカ臨床化学学会より、臨床化学と毒理学の認定を受けている。疾患研究センター(CDC)アトランタのスミスクレイン臨床研究所では、内分泌学、栄養生化学、毒理学、免疫学の監督を務める。ミズーリ州立大学カンザスシティ校医学部で教鞭を執る傍ら、医学部と隣接するマーシー子供病院で臨床医学、内分泌学、毒理学の所長を務め、現在はカンザス州のレネキサに拠点を置くグレート・プレインズ研究所の所長。