子どもの脳にいいこと
コドモノノウニイイコト
多動児、知的障害児がよくなる3つの方法
鈴木昭平著
「一言も話せなかった子ども会話ができるようになりました」(母)
これまで20年近く、知的障害児の教育指導にかかわり実際に成果を上げてきた「実績」から、著者は、すべての知的障害児は普通どころか天才になれる可能性を秘めていると断言する。
立ち読み
まえがき 知的障害は克服できる!!
まず、始めに6歳の男の子のケースを紹介しましょう。
この子は「自閉的で多動症の疑いあり」という診断を受けていたのですが、比較的軽度であるため、小学校はなんとか普通学級へ進学させたいというのが、お母さんの希望でした。
しかし、9月の保健所の就学検診でIQが40以下であるから普通学級への入学は不可能と判断されて、私のところにやってきたのです。
お父さんは内科のお医者さん、お母さんは看護師さんでした。悩んだ末に人づてに噂を聞いて、藁にもすがる気持ちで私のところにやってきたのです。
入学までに時間がなかったので、お母さんの理解と最大限の実践を前提として指導しました。短期決戦でしたが、3ヶ月でどんどん言葉を覚え、表現が豊かになり、計算もできるようになったのです。日々、彼の知能がすさまじく伸びていくのが、手に取るようにわかりました。
そして12月の再検診ではIQが100を超え、「問題なし」と判断されたのです。
ちなみにIQは、就学前に70から75というのが発達の程度を見極めるボーダーであり、これより低ければ発達に遅れがあるとみなされます。
9月時の子どもの様子を覚えていた保健師さんは「どうしたの?」「なにがあったの?」と、驚愕していたそうです。
彼は4月には公立小学校に入学し、現在も普通学級で学んでいます。学力もほかの子に比べてまったく遜色なく、毎日元気に過ごしています。
もう1つの例を紹介しましょう。3歳の男の子で、私のところに来たときは言葉が一言も出ない状態でした。「ママ」、「パパ」はもちろん、肯定・否定語の「うん」「ううん」も含め、意味のある言葉がまったく出ないのです。
医師からは「この子は言語障害だから、一生言葉が出ないと思ってください」と宣告されていたそうです。両親の絶望ぶりは、いかばかりだったことでしょう。人づてに噂を聞いて、一縷の望みをかけて、私のところにいらしたのです。
初めて会ったときに私が「大丈夫、声帯が正常であれば絶対に言葉が出ます。話せるようになりますよ」というと、お母さんは「信じられない」という表情でした。医者の宣告は信じても、私の宣告は信じてもらえなかったのです(笑)。
しかし半年後、その子はペラペラになっていました。今は小学校に通っていますが、もちろん普通クラスです。それも大変にお利口です。発達に遅れがあり、一生言葉が出ないと宣告されたという話をしても担任の先生は、にわかには信じてくれなかったそうです。
言葉が遅い、会話ができない、落ち着いて座っていられない、気に入らないことがあるとすぐにパニックになり泣きわめく、奇声を発する、突発的に行動する、暴力的、目が合わない、発達が著しく遅れている……。
子どもが知的障害と診断された親御さん、あるいは子どもの発達の遅れを気にしている親御さんの悩みはどれだけ深いものがあるでしょうか。誰もが子どもの将来が気にかかることでしょう。
多くのお母さんたちは自分を責めています。妊娠時の食べ物がいけなかったからではないかとか、遺伝的なものではないか、あるいは自分の育て方が悪かったのではないか、などというようにです。子どもに申し訳ないと罪悪感にさいなまれている人も多いのです。
もちろん、知的障害児が生まれるということは、それなりの原因があるはずです。妊娠時のお母さんの重金属の蓄積、精神状態や食事、睡眠状況、生活環境といったことも関係してきます。
しかし、この現代社会において、子どもに100%の安全を与えられる人などいないし、また同じ条件で生まれたとしても、子どもによる個人差というものがあります。
ここでちょっとお尋ねしますが、みなさん、「知的障害児=普通より劣る子ども」と思い込んでいませんか?
それは大きな間違い、勘違いです。そんなことはまったくありません。
私はここに、自信をもって断言します。
すべての知的障害児は普通どころか、天才になれる可能性さえ秘めていると。
これは私がこれまで20年近く、知的障害児の教育指導にかかわり、実際に成果を上げてきた「実績」から申し上げていることです。
エジソンも、アインシュタインも、子どものころは学習障害だったといいます。
知的障害児、発達の遅れが気になる子どもの親御さんは、「この子がせめて普通児になってくれれば」といいますが、「普通」などというレベルではなく、あなたのお子さんは「天才児」になる可能性があるのです。
そんな素晴らしい可能性をもったお子さんに恵まれたのです。
医者や専門機関は「普通の子どもと同じということは無理ですね」「一生言葉は出ないでしょう」「施設に入ったほうがいいかもしれませんね」などと、ネガティブなことばかりいう傾向があります。それがすべての元凶なのです。
しかし病院では、知的障害児が秘めている能力を豊かに伸ばす教育は、あまり期待できません。他の施設でも大同小異でしょう。それが証拠に、これまでのところ芳しい成果は出せていません。また小学校における「特別支援学級」も同じです。知的障害児の特性を生かすためのノウハウがないからです。
失礼ながら極端な言い方をすれば、先生方は効率の悪い「子守りに近い指導」をしているだけのように感じます。せいぜい現状維持にすぎません。知的障害児の増加に伴い、この分野に必要な税金は、教員の給与を中心にますます増加します。
私の方法は、従来のものとはまったく違います。
それは知的障害児のもつ「特性」に注目し、秘められた能力を積極的に伸ばすことによって、その子の知能全体をも引き上げていくという方法です。
知的障害で一番多いのは「多動」ですが、ほかにも自閉症、学習遅滞、脳性麻痺、ダウン症などさまざまな種類があります。また、名前の付けられないものもかなり多いのです。しかし、それらを含めて知的障害は改善できると私は信じています。事実、それなりに結果を出してきています。
みなさんは、「うちの子がせめて人様に迷惑をかけないように……」といいます。しかし、私の方法を実践すれば、「人に迷惑をかけない」などというハードルなどたやすく越えられます。
私の言っているのは、そんなレベルの話ではありません。その子ならではの才能・特性を引き出すことで、社会適応どころか、社会に大きく貢献できる人材に育て上げることができるのです。
それゆえ私は、私が編み出したメソッドを「エジソン・アインシュタインメソッド」と名づけました。そして2009年に一般社団法人エジソン・アインシュタインスクール協会を設立して、このメソッドの普及に努めています。
みなさん、どうぞ私を信じて、エジソン・アインシュタインメソッドを試してみてください。知的障害児は「社会の財産」だと私は思っています。地球が抱える問題を解決し、人類の未来に積極的に貢献する、素晴らしい子どもたちなのです。彼らこそが日本の誇る最高の人的資源、知的資源になるのです。
「現状維持」「単なる子守り」の障害児教育はもう捨ててください。だまされたと思って私の方法に切り替えるのも一つの選択でしょう。
「この子の将来はどうなるのだろう」「せめて普通の学校に通ってくれれば……」
そんな後ろ向きの暗い気持ちは今ここで捨ててください。あなたとあなたのお子さんには限りない明るい未来が広がっているのですから。
本書で私がその水先案内人を務めさせていただきます。
一般社団法人エジソン・アインシュタインスクール協会会長 鈴木昭平
目 次
もくじ◎子どもの脳にいいこと
まえがき 知的障害は克服できる!!
1 こうして知的障害児が優秀児になった!!
大学教員から知的障害児教育の専門家へ
私の人生を変えたある運命的な出会い
知的障害がどんどん改善されていく
自閉症児が優秀児に変貌した!
耳をつんざく奇声がたった半年で改善
一生出ないといわれた言葉が出た!
二村由香ちゃん 8ヶ月で言葉が話せるように
日野颯太くん 自閉症で多動だったが会話が成立するまでに
岡野弘毅くん 集団生活ができなかったが落ち着きが出てきた
大田明日香ちゃん 言葉が出なかったが今ではIQは普通に
2 脳の仕組みからいえる知的障害児の優秀性
発達の遅れに気づいたら……
知的障害の種類
知的障害児の脳の仕組みがわかった
左脳と右脳のバランス
知的障害児の右脳は高機能・高性能
神経回路をどんどん作れば障害は克服できる
左脳を直接教育しても効果は少ない
左脳を発達させるにはまず右脳を刺激しよう
なによりもスピードが必要
知的障害児は血流が悪くなっている
なぜ障害が起こるのか
とんでもない優秀児だった!!
誤解されている知的障害児
医師の「様子を見ましょう」は命取り
すすめられない施設送り
発達の遅れに気づいたらなるべく早く行動を
あの天才たちも知的障害児だった!
幼児教育の指導者から「やめろ」といわれて……
どんな子も普通学級に入れる
お母さんこそが最大の教師
3 今すぐ実践!! 「エジソン・アインシュタインメソッド」
「エジソン・アインシュタインメソッド」3つの柱
①お母さんの意識改革
目線を上に保つ/笑顔と言葉遣いの大切さ/高いトーンの声で「愛の言葉」を
②血流・血液状態の改善
パワーアップ体操で血流をよくする/パワーアップ体操で意識も変わる/脳に必要な栄養素をしっかり補給しよう/脳を高性能化する「糖鎖」/21世紀の医療革命といわれる糖鎖/「糖鎖」と「レシチン」をどうとればいいか/脳を元気にするには小腸から/小腸のクリーニングを心がけよう/脳には大量の酸素が必要/深呼吸で血液をパワーアップ
③高速学習
右脳を刺激する高速学習/入力を行う際の注意点
日常生活と連動させる
できるだけ変化をもたせる
音楽を取り入れる
座っていられない子ども、言葉の出ない子どもはどうすればいいか
4 知的障害児の無限の可能性を引き出す日常生活のコツ
発達検査表を常に参照しよう
いつでもどこでも学習
1日3回以上、子どもを百倍ほめる
我慢を覚えさせる
子どもとの信頼関係を損なわない
「夢」付きのおもちゃを与える
スキンシップで子どものショックを取りのぞく
おわりに