合わせ方が9割
アワセカタガ9ワリ
なぜ人とうまくつき合えないのか/演技力コミュニケーション
地蔵保幸著
いちばんのコツは、相手に巻かれてみること!
なぜ人とうまくつき合えないのか——。著者も、子どものころから、とても「感じやすい」自分の心に生きづらさを感じてきたという。現在、心理コミュニケーショナーとして、カウンセリングやコンサルティングに東奔西走する毎日だが、人付き合いが難しいのは、言葉のやりとりも、その背後にある感情をキャッチボールする難しさにある、と言う。素敵なコミュニケーションには、求めるよりも、自分から相手の感情に合わせること、まさしく「合わせ方が9割」、そのヒントの数々。
立ち読み
はじめに
私は子どものころから、とても「感じやすい」自分の心に生きづらさを感じてきました。相手の言葉やしぐさが気になって仕方ないのです。大人になり避けることのできない人間関係が増えると、そのことに過度のストレスを感じるようになりました。
カウンセラーとしてさまざまな人たちと接していくうちに、私たちがコミュニケーションで生きづらさを感じるいちばんの理由は、人間の感情についてよくわかっていないことにあると気づきました。
感情は、とても曖昧なもので、とらえどころがありません。自分では悲しいと感じていると思っても、そこには寂しさや落胆など、いろんな感情が入り交じっています。相手の感情も同じです。
コミュケーションが難しいいちばんの理由は、言葉のやりとりも、その背後にある感情をキャッチボールすることが難しいからです。
カウンセラーをしている私の元には、コミュニケーションに関する悩みで相談に来られる方が多くいます。たくさんコミュニケーションの解説書やノウハウ書は読んだけれど、いざ相手と向き合うとうまくいかないと悩みを打ち明けられます。
それは、相手の感情だけでなく自分の感情も変化しているからです。
コミュニケーションをスムーズにするには、何より互いの感情を合わせることが必要です。ところが、それには相手が自分の感情に合わせるべきだと思い込んでいる人がいます。
私がカウンセラーとして出会う人たちのなかには、人間関係で生きづらさを感じているという人がたくさんいます。
「私をわかってくれる人はこの世に一人もいない。いっそのこと人と関わらないで生きていきたい」と訴えてくる人もいます。
それは、自分の感情に合わせてコミュニケーションしてくれない相手が悪いと決めつけているように見えます。もちろん、それでは相手との感情のキャッチボールはうまくいきませんし、コミュニケーションもうまくいきません。
そのままの考え方だと、人間関係はどんどん希薄になっていきます。そのほうが不快感を感じることが少ないので快適かもしれませんが、あくまで一時的なことです。幸せを感じる機会そのものを失っていくでしょう。
コミュニケーションで感情のキャッチボールをするには、相手が自分の感情に合わせてくれることを求めるよりも、相手の感情に関わろうと覚悟を決めて自分から合わせることが基本です。まさしく「合わせ方が9割」なのです。
でも、人の感情に合わせるのって難しいと思われますか。本書には、そのためのヒントがいっぱい掲載されています。
そのひとつが、オビに紹介した「相手の感情に乗ってみる」それができないなら「相手の感情に流されてみる」それもできないなら「相手の感情に巻かれてみる」というスリーステップです。
ただし、こうしたコミュニケーション法を単なる方法論とはとらえないでください。人の感情は百人百様であり一人百様でもあります。感情そのものはそれを感じている本人固有のものです。そんな感情と向き合いコミュニケーションするには、その感情を感じている人を尊敬し、思いやる気持ちが必要なのです。
本書との出会いが、人間関係で悩んでいるあなたのヒントになれば幸いです。そして、素敵なコミュニケーションの手助けになることを願ってやみません。
さあ、次の頁を開いてください。いっしょに新しい人生の扉を開きましょう。
目 次
もくじ◎合わせ方が9割
はじめに
パート Ⅰ コミュニケーションは感情の合わせ方で決まる
私は誰とでもコミュニケーションできるはず?
うまくいかない理由はいくらでもある⁉
コミュニケーションの中心は感情のやりとり
感情と思考と行動はトライアングルで連動
相手の感情(気持ち)に合わせてみる
★「相手の感情に乗ってみる」
★「相手の感情に流されてみる」
★「相手の感情に巻かれてみる」
自分の気持ち(感情)を見せることも必要
感情を曖昧なまま放っていることが多い
コミュニケーションにはもっと感情について知るべき
「真実」と「事実」を混同するとコミュニケーションが難しくなる
感情に言葉を与えてみる
不適切な感情ってあるの?
感情が過度に反応しやすい考え方がある
★人前に立つと萎縮してしまう
★試験に落ちてすごく落ち込んだ
★体の不調が気がかりでたまらない
★プレッシャーを感じるとうろたえてしまう
★親の面倒を見ることができない自分が情けない
考え方を変えるコツ
体の表現を使いこなすと合わせやすい
体の表現を使い分けるための6つの要素
1「視線」/2「声の調子」/3「相手との距離」/4「体の姿勢・方向」/5「動作」/6「顔の表情」
合わせるには相手をよく観察することも大事
①髪型/②目/③口元
体の表現を効果的に使うために
★思い込みは危険
★合わせようとしすぎない
★相手を尊敬し思いやる心をもつ
★事前に相手との対し方を思い描いておく
★合わせ方がうまい人を真似る
★難しいと感じたら無理をしない
パート Ⅱ 状況別・相手との合わせ方
◆1 やる気が見えない相手との合わせ方
◆2 文句の多い相手との合わせ方
◆3 イラッとする相手との合わせ方
◆4 思い込みが強い相手との合わせ方
◆5 悩みを相談してきた相手との合わせ方
◆6 一方的に話しまくる相手との合わせ方
◆7 無口な相手との合わせ方
◆8 避けられているように感じる相手との合わせ方
◆9 本音がわかりにくい相手との合わせ方
◆10 頼み事がしにくい相手との合わせ方
◆11 考え方が合わない相手との合わせ方
◆12 信頼されていると感じられない相手との合わせ方
◆13 競争意識をもっている相手との合わせ方
◆14 威圧してくる相手との合わせ方
◆15 押し出しの強い相手との合わせ方
◆16 優柔不断な相手との合わせ方
◆17 長話をする相手との合わせ方
◆18 自分を避けている相手との合わせ方
◆19 話すのを面倒くさがる相手との合わせ方
◆20 落ち込んでいる相手との合わせ方
◆21 思い通りにしたがる相手との合わせ方
おわりに