「演じる」技術で人間関係は劇的によくなる!
「エンジル」ギジュツデニンゲンカンケイハゲキテキニヨクナル!
「あんなヤツは!」「どうせ自分は!」と、あきらめていませんか?
地蔵保幸著
職場で生き抜くための6つのコミュニケーションツールとは
人と向かい合っているとき、自分の視線や体の動きを意識したことはありますか。自分の気持ちや考えを相手に伝えるには、言葉による表現が大切なことはもちろん、“体による表現”も大きな役割を果たしています。
本書は、そのためのコミュニケーションツールとして「視線」「声の調子」「相手との距離」「体の姿勢・方向」「動作」「顔の表情」という6つ表現方法を演じる技術として取り上げています。
イラストを使って34の職場のシーンごとにわかりやすく解説しています。
- 価格
- 1540円(本体1400円)
- 判型
- 四六判
- 頁数
- 216 頁
- 発行日
- 2010.8.2
- ISBN
- 978-4-87795-194-8
立ち読み
プロローグ 「演じる」技術で人間関係は変わる
・体の表現によるコミュニケーションも大切
人と向かい合って話しているとき、自分の視線や体の動きを意識したことはありますか。自分の気持ちや考えを相手に伝えるには、言葉による表現が大切なことはいうまでもありませんが、“体の表現”も大きな役割を果たしています。
会議室のテーブルを挟んで仕事の打ち合わせをしている場面を想像してみてください。真正面に向き合って座り、じっと自分の目を凝視しながら話しかけられたら、どうですか。とくにその相手が上司ならば、緊張してしまいそうです。
このとき、上司が相手に負担感を与えないように気遣って、斜め向かいの席に座り、視線を動かしながら話してくれたら、それだけでも、こちらの気持ちはけっこう楽になると思います。
反対に、あなたが上司に決断を迫りたい場面ならば、真正面に向き合って座り、相手と視線を合わせながら話したほうが、決意の強さが伝わりやすいでしょう。
話すときは、相手の目を見ながら話すものだと思い込んでいる方がいますが、悩み相談を受けているようなとき、じっと凝視されたら、ただでも話しづらいのに、もっと話せなくなってしまいます。
こんなときは、相手の全体を見るようにしたり、視線をずらしたりするだけで、相手は気持ちが楽になり、話しやすい雰囲気をつくることができます。
このように体の表現のひとつである視線をとってみても、コミュニケーションに与える影響は、目を合わせる、合わせないという単純な区別だけではないのです。
声の調子も、同じ言葉を低い声で話すのと高い声で話すのでは受けるイメージはがらりと変わります。一般に高い声は気持ちがウキウキするような楽しい感じを与えますが、低い声は深刻な感じを与えます。
手を動かしたり、体の姿勢を変えるとき、その動きの大小でも相手に与える印象はけっこう違ってきます。この話はしっかり印象づけたいと思ったら、体の動きを大きくしたほうがいいでしょうし、やさしく語りかけたいときは体の動きを小さく抑えたほうがいいのです。
いかがですか。言葉だけでなく、体の表現によって、自分の考えや気持ちの伝わり方はけっこう変わってきますし、人間関係も変わってきます。
私は、これまで数多くの企業でカウンセリングをしてきました。企業によって職場のカラーは異なっていますが、人間関係がうまくいかず、ストレスを抱える人は増える一方です。「あんなヤツは!」「どうせ自分は!」とあきらめ、コミュニケーションを避けているうちに孤立してしまうといったケースにもよく出合います。
そのカウンセリングにおいて、この体による表現を普段のコミュニケーションに積極的に取り入れることをおすすめしています。それだけで、人間関係が驚くほどスムーズになるからです。
体による表現を意識して行なうことは、役者が舞台で視線や声の調子、体の動きなどを意識して演じることに似ています。役者は、たえず演技力を磨く努力をしているでしょうが、そこまでしなくても、体で表現する技術、つまり「演じる」技術(演技力)を少し身につけるだけでいいのです。
・「演じる」技術を構成する六つの要素
役者は「演じる」ことによって、いろんなイメージを観客に伝えています。それは、コミュニケーションに「演じる」技術を取り入れるうえでも参考になりますが、とくにコミュニケーションスキルとして活用すると効果があるのは次の六つの要素です。
- 演技のポイント1「視線」
- 演技のポイント2「声の調子」
- 演技のポイント3「相手との距離」
- 演技のポイント4「体の姿勢・方向」
- 演技のポイント5「動作」
- 演技のポイント6「顔の表情」
・自分流の「演じる」技術を身につけよう
これら六つの要素を駆使して、どんな状況に置かれても自分らしく的確に演じるには、「相手を見つめること」と「相手に合わせること」、そして「自分が変わること」という三つのステップが「演じる」技術の土台になります。
相手の何気ない変化でも、しっかり観察し、見つめることが的確に演じるための第一のステップです。次はそれに合わせることが第二のステップになります。そして第三のステップは、そのために自分が変わることです。
相手を注意深く観察していると、いろんな情報を得ることができます。顔ならば表情はもちろん、髪型や目、口元などから得られる情報もあります。
それを自分の思い込みで判断するのではなく、自分とは考え方や感じ方が違うかもしれないと思って、まずは相手に合わせることからはじめるのです。
相手が笑顔ならば、こちらも笑顔で、相手の体の動きが大きければ、こちらも体の動きを大きくしてみるのです。
もし、相手に合わせることに抵抗があったら、その自分を変えてみてください。自分が変わることを恐れず、新しい自分を演じることに挑戦してみてください。
この三つのベースがしっかりしているほど、いい演技ができるようになります。その分、人間関係はスムーズになり、それまでの生きづらさも取り除かれていくと思います。
これからいよいよ本論に入りますが、最後にひとつだけ心得ておいてほしいことがあります。それは、相手に対する尊敬と思いやりの心です。
じつは、その心さえあれば、演じることを特別に意識しなくても、いつかはきっと“いい人間関係”を築くことはできると思います。そのいつかをすぐに変えて実現してくれるのが本書で紹介する演技のテクニックなのです。
いま、営業や職場、友達関係、さらには家族の関係において息苦しさを感じているなら、本書を読み終わったら、すぐに始めてください。そこには、きっといままで出会ったことのない新しい自分があるはずです。
目 次
もくじ●「演じる」技術で人間関係は劇的によくなる!
プロローグ 「演じる」技術で人間関係は変わる
体の表現によるコミュニケーションも大切
「演じる」技術を構成する六つの要素
自分流の「演じる」技術を身につけよう
パート1 人間関係がスムーズになる34の演じ方
- 相手に自信をもたせたいときの演じ方
- 理不尽なことを言う相手に対するときの演じ方
- きつく断られても感情を顔に出さないための演じ方
- 握手で親しみを表わしたいときの演じ方
- 思い込んでいることをあきらめさせたいときの演じ方
- 悩み相談を受けたとき安心感が伝わる演じ方
- 一方的に話しまくる相手に対するときの演じ方
- 無口な人に対するときの演じ方
- 生意気なイメージを変えたいときの演じ方
- 相手の本音を探りたいときの演じ方
- 自分の本音を打ち明けたいときの演じ方
- 特別に感謝の気持ちを伝えたいときの演じ方
- 異性の部下とスムーズにやりとりしたいときの演じ方
- 気持ちよく頼み事ができる演じ方
- 考え方が合わない相手と話すときの演じ方
- 信頼している気持ちを伝えたいときの演じ方
- プライドを守りながら失敗を謝るときの演じ方
- 威圧されそうな相手と話すときの演じ方
- 押し出しの強い相手と付き合うときの演じ方
- 仲間からの断りづらい誘いを断るときの演じ方
- プライベートなことを注意するときの演じ方
- 普段話しづらい上司に意見を言うときの演じ方
- 部下を注意したり叱ったりするときの演じ方
- 相手に決断を促したいときの演じ方
- みんなの一体感を高めたいときの演じ方
- 相手の長話を早めに終わらせたいときの演じ方
- 自分を避けている相手に対するときの演じ方
- 話しかけづらい相手に質問するときの演じ方
- 落ち込んでいる相手を励ましたいときの演じ方
- 一方的な相手に対するときの演じ方
- おじぎで好印象を与えたいときの演じ方
- クールなイメージを変えたいときの演じ方
- みんなをやる気にさせるための演じ方
- 電話応対で好い印象を与えるための演じ方
パート2 より自分らしく演じるための基本
「演じる」の基本は三つのステップからなる
- 第一ステップ「相手を見つめること」
・顔を観察するだけでこんな情報が得られる
・視野を広げるトレーニング - 第二ステップ「相手に合わせること」
・人はみな違っている
・思い込みで演じるのは危険
・想いの強さを調整する - 第三ステップ「自分が変わること」
相手を尊敬し、思いやる心をもつ
はじめは事前に脚本をつくるところから
うまく演じている人を見てまねる
演じることを意識しすぎないほうがいいときもある
あなたの「演じる」能力を診断
おわりに