はじめに
2013年6月厚生労働省より、2012年時点での認知症の高齢者は、推計で462万人という調査結果が発表されました。65歳以上の高齢者の約15%に当たります。1985年の調査では6•3%でしたので約30年の間に、高齢者に占める認知症の比率は、2倍以上増加したことになります。
また、認知症予備軍(日常生活は送れるが認知機能の低下がみられる)が、400万人という調査結果も発表されました。5年後には予備軍の半数が認知症に進む可能性があると指摘されています。
このままでは、約認知症700万人時代が来るということです。
今、認知症の患者には多くの薬が処方されていますが、薬を飲めば飲むほど治るはずの認知症が進行するという事実も見逃せない現実です。
はじめに
2013年6月厚生労働省より、2012年時点での認知症の高齢者は、推計で462万人という調査結果が発表されました。65歳以上の高齢者の約15%に当たります。1985年の調査では6•3%でしたので約30年の間に、高齢者に占める認知症の比率は、2倍以上増加したことになります。
また、認知症予備軍(日常生活は送れるが認知機能の低下がみられる)が、400万人という調査結果も発表されました。5年後には予備軍の半数が認知症に進む可能性があると指摘されています。
このままでは、約認知症700万人時代が来るということです。
今、認知症の患者には多くの薬が処方されていますが、薬を飲めば飲むほど治るはずの認知症が進行するという事実も見逃せない現実です。
たとえば、認知症の薬に加えて、薬で胃もたれがする可能性があるから胃薬、少々めまいがすると言えば薬、次々に薬が増えて10種類以上の薬を飲まなければいけない人も多くいます。
このように病院の医師は往々にして薬を加えることはあっても、少なくすることは、あまり考えない傾向にあります。病院の先生の言うことは絶対と思っている高齢者の方は多く、家族が疑問に思っても本人は律儀に飲み続ける場合が多いのです。
このような医療事情の中で、認知症は改善するどころか、薬が負のスパイラルをつくっている側面があることも否定できません。
私は長年、食による健康の改善を提唱してきました。人間の体は生まれ落ちた瞬間から、口から入る食物が血となり肉となり、何十年もの間、その食生活習慣によって体はつくられています。
医聖と言われるヒポクラテスは「食べものによって病気にもなり健康にもなる。食べもので治せない病気はない」とまで言っています。
しかし、食べものによって病気にも健康にもなることはわかっても、認知症と食はどんな関係があるのだろう? と思われる方も多いと思います。
結論から言えば、腸と脳が密接な関係をもっているため、腸内環境を良くすると脳は判断力や記憶力などを維持でき、認知症になりにくくなるのです。
腸には脳に次いで大きな神経ネットワークがあり、腸内環境が「脳」にも影響を与え性格などにも変化を及ぼすことが研究され始めています。腸の調子が悪い状態が続くと、脳の働きが悪くなってしまうのです。
詳しくは本文で述べますが、本書は、腸内環境を良くする食材は何かについてさまざまな角度から検討した結果、毎日生きていくうえで避けることのできない、六つの食材こそ認知症を予防できる食材であるという結論に至りました。
その食材とは、①醤油と味噌、②玄米、③豆腐とおから、④油、⑤水、⑥塩です。
多くの日本人が、毎日、無意識に飲食しているものばかりです。生きていくうえでは重要なものであるにもかかわらず、保存性の良さや、安さ、便利さを求めるあまりに、素材などに無頓着になってしまい、質の悪い、むしろ健康には良くないものを飲食してしまう傾向にあるようです。
そこで、これらの良し悪しの判断方法や効能について述べることにしました。
一例をあげますと、塩分の摂りすぎは高血圧の原因になるという現代の「常識」は、良い塩を摂る限り間違っている、というような意外な「常識」を紹介することで、食の意識改革をしていただきたいと思っています。
じつは、認知症も生活習慣病の一つだったのです。
ですから、毎日食べるありきたりな食材だからこそ、上手に摂ることによって認知症を予防できる可能性は大きいのです。
本書が、読者のみな様の毎日の食生活習慣を考えていくうえでの大きなヒントになり、豊かな老後のための一助にしていただければ幸いです。
2015年 3月吉日
阿部一理