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総合出版 コスモ21

頭にいい、体にいい、楽しい本満載!

離婚の学校 男の覚悟・女の選択

リコンノガッコウ オトコノカクゴ・オンナノセンタク

佐藤三武朗著

妻よ、お前もか

人生は、言い古された言葉であるが、ドラマである。大いなる悲喜劇である。笑いと涙に満ちた舞台である。
年金分割の導入を機に、抑え込まれていた女性たちの自立への思いが解き放たれ、夫婦関係に変化が起こるのではないか。新聞や週刊誌の紙面には「熟年夫婦の危機」「離婚へ妻たちの熱い視線」「離婚急増」「妻たちの独立宣言」などという見出しが躍っていた。
家庭を顧みることなく頑張ってきた大学教授の「私」が夫婦の危機に直面して揺れる姿が描かれていく。

主な内容

第一話 焦 燥
第二話 混 沌
第三話 深 刻
第四話 憂 慮
第五話 性 愛
第六話 逃 避
第七話 絶 望
第八話 性 癖
第九話 黎 明

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離婚の学校 男の覚悟・女の選択
価格
1650円(本体1500円)
判型
四六判上製
頁数
238 頁
発行日
2019.11.16
ISBN
978-4-87795-384-3

立ち読み

プロローグ

 夢見る喜びは、夏雲のように湧きあがる。束の間、夢は失望に変わり、怒濤のごとく押し寄せては、岸壁に砕け散る。

 青春は、夢のごとし。人生は怒濤のごとし。

 人生は、言い古された言葉であるが、ドラマである。大いなる悲喜劇である。笑いと涙に満ちた舞台である。

 二〇〇七年四月から「年金分割」の制度が導入された。これを機に女性たちの自立への思いが解き放たれ、夫婦関係に変化が起こるのではないかと注目された。新聞や週刊誌の紙面には、

「熟年夫婦の危機」

「離婚へ妻たちの熱い視線」

「離婚急増」

「妻たちの独立宣言」

 などといった見出しも増え、男たちにとっては「わが家の妻も、もしかしたら……」という不安が現実味を帯びてきていた。

 当時、アメリカ発の世界不況のお陰で、離婚の数は少し下火になったとは言え、再び勢いを増さないとも限らない雰囲気があった。熟年男性の自殺者の数も、一向に減る気配はなかった。

 その当時も今も、男性は無防備である。特に日本の男性は家庭において、あまりに幼稚で、女性の怖さを知らなすぎる。ひょっとしたら、あなたの奥さんも年金分割の導入に合わせて、「さあ、離婚だ」と、ひそかに考えている妻たちのひとりかもしれない。

 この制度の導入に驚いたのは、家庭を犠牲にしてまでひたすら働き続け、日本社会の発展を支えてきた団塊の世代の夫たちだった。

「年金分割?」

「おい、何だ、それは!」

「ええ、それ本当か!」

 今も同じだが、あわてふためき、叫き散らす夫たちの狼狽ぶりと、落胆ぶりが目に浮かぶようだ。

 家庭を顧みる暇もなく頑張ってきた男たちよ。妻の独立宣言を冷静に受け止めるだけの度胸と勇気、そして覚悟が、あなたにあるだろうか。これから始まる物語は、年金分割の制度が導入された当時、男たちが夫婦の危機に直面しながら熟年期の離婚に揺れる姿を描いたものである。

目 次

もくじ……離婚の学校 男の覚悟・女の選択

プロローグ

 

第一話 焦 燥

妻たちの反乱

妻よ、お前もか

眠れぬ夜

第二話 混 沌

真剣だから、滑稽

年金分割賛成

日本は〝ふろしき文化〟

第三話 深 刻

弁護士の話――離婚相談で繁盛

アメリカの事情――謝罪は敗北

第四話 憂 慮

後悔先に立たず

再び、眠れぬ夜

第五話 性 愛

ボケないために、愛には愛を

男と女は不可解

性への関心

第六話 逃 避

夫の年収と妻の満足度は反比例?

我慢、妥協、あきらめ(その一)

我慢、妥協、あきらめ(その二)

我慢、妥協、あきらめ(その三)

第七話 絶 望

女子と小人は養いがたし

ハムレットとオフェリア

第八話 性 癖

無縁死

愚痴

男と女の性癖

妻たちのお洒落

第九話 黎 明

過去・現在・未来

子供の気苦労

いたわり、うるおい、いやし

 

エピローグ

プロフィール

佐藤三武朗(さとうさぶろう)

1944年、静岡県伊豆市(旧中伊豆町)生まれ。

日本大学文学部英文学科卒業、日本大学大学院文学研究科博士後期過程修了。国際関係学博士。日本大学総長代理・代行、国際関係学部長などを歴任。2013年、地域教育行政功労者として文部科学大臣賞受賞。現在、佐野日本大学短期大学学長、日本大学名誉教授・顧問。

市民活動の活性化を目的とした「一般社団法人佐藤塾」(三島市)を設立、同代表理事。『天城恋うた』『天城 少年の夏』『修善寺ラプソディ』(以上、静岡新聞社)など、故郷・伊豆の歴史や風物を題材とした小説を多数発表。また、日本大学の学祖・山田顕義先生の生涯を描いた『日本巨人伝 山田顕義』(講談社)を出版し反響を呼ぶ。『吉田松陰最後の弟子 山田顕義』の出版・劇映画製作を目的に「一般社団法人山田顕義記念基金」を復活させ活動中。日本文学と西洋文学の比較などについて研究を進め、『Shakespeare’s Influence on Shimazaki Toson』などの著書もある。